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しおりを挟むマコト様の話だと今すぐに容易できる家は2つしかないとのこと。
ただ、もう少し待てば候補は4つまで増やせるらしい。
元々用意されている2つの家は、皇家で管理している家で、帝都にあるらしい。
しばらく待たなければいけない物件はそれぞれ地方都市にあるそうだ。
ただ、その都市を管理運営している貴族の許可がないと住むことができないらしい。
まずは、すぐにでも済むことが出来る皇家で管理している帝都にある家を見せてもらうことにした。
今現在いるレコンティーニ王国のキャティーニャ村からハズラットーン帝国の帝都までは馬車で1週間程度かかるらしい。
ただ、クロ様とシロ様がいれば転移の魔法で一瞬で帝都まで着くと教えてもらった。
もちろん私が使用している転移の魔法でも一瞬で帝都まで行くことができるが、これに関してはマコト様の手によって封印されてしまった。
「これをつけていて下さいね。じゃないと貴女は勝手にどこにでも転移できてしまうから、監視することもできないんですよ。」
そう言ってマコト様は私に可愛らしいシルバーの花柄のペンダントを渡してきてくれた。
そうして、そのまま首につけてくれる。
その際、マコト様の爽やかな匂いが一瞬だけただよってきた。
それと同時に、何かが持って行かれてしまったような感覚がした。
「失礼ながら貴女の魔法を封じ込めさせていただきました。お許しください。」
「わかったわ。」
綺麗に一例をするマコト様の所作に思わず見とれてしまう。
エドワード様がマコト様に気を許してしまうのもわかるような気がする。
そのくらいマコト様は魅力的だった。
「ライラ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「ライラで結構よ。出自のわからない孤児ですもの。」
孤児ということは隠さなくても問題ないかと思えた。
むしろ、なにから何まで隠すのは得策ではない。
それに元孤児だということは事実なのだから。
「わかりました。ライラさん。」
マコト様は「様」から「さん」に敬称を変更して呼んだ。
でも、なんだかマコト様に「様」付けして呼ばれるのはどうも、心がわさわさと落ち着かないのでやんわりと拒否する。
「呼び捨てでいいわ。」
「わかりました。ライラ。」
「ライラ」と私の名がマコト様の口から呼ばれた瞬間になぜかドキッと胸が高鳴ってしまった。
マコト様は女性だというのに。
エドワード様の子を産んだ女性だというのに。
「ねえ、マコト様。レイチェルの意識は戻らないのかしら?」
何気なさを装ってずっと気になっていたことを聞いた。
私の中に何故か存在するレイチェルの記憶。
ライラとしての記憶を思い出した時から自分はレイチェルではなくてライラだという意識がはっきりと芽生えてきた。
だとしたら、私の中にあるレイチェルの記憶はなんなのだろう。
レイチェルは今、どこにいるのだろうか。
・・・無事、なのだろうか。
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