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しおりを挟む「お呼びと伺いましたが?」
侍女にマコト様を呼ぶようにお願いすると、すぐにマコト様がやってきた。
やはりその目には私に対する不信感がありありと浮かんでいる。
「マコト様は色々な魔道具を作成していると伺ったのだけれども、本当かしら?」
「ええ。本当です。」
「ゲロゲロ君18号以外にも魔道具があるのですか?」
「ええ。たくさんありますよ。」
マコト様の返事は素っ気ない。
まあ予想していた通りではあるけれども。
「私を調べてくれないかしら?」
「はい?」
私が告げた内容に驚いたのか、冷静なマコト様らしくなく声が裏返っていた。
「マコト様、私を調べてください。」
もう一度力強くお願いする。
マコト様の顔は何を言っているのかわからないという顔をしている。
「………貴女は何がしたいんですか?」
「………私は自分の名がレイチェルだと信じておりました。ですが、ゲロゲロ君18号は私の名はレイチェルでないと言います。私は私がよくわからなくなりました。私は自分の名を知りたいのです。」
「記憶が………ないのですか?」
「わかりません。」
記憶がない?
いいえ。記憶がないわけではない。
ただ、この記憶が私のものなのかがわからない。
この鮮明な記憶は本当は私のものではないのだろうか。
「わからないから、私のことをマコト様に調べていただきたいのです。」
「………そうですか、わかりました。もともと貴女のことは詳細に調べなければいけないと思っておりました。」
そう言ってどこからともなくマコト様はなにやら鏡のようなものを取り出した。
「この鏡をよく見てください。なにが見えますか?」
マコト様に言われるがままに、鏡を覗きこむ。そこには、私の顔が映っていた。
「私が………見えます。」
「では貴女の名前は?」
「私は………レイチェルです。」
「鏡を見ながらでも、そう言えますか?」
鏡を見ながら?
鏡に映る私の顔を見ながら、名前を言おうとすると、鏡の中の私の顔が悲しげに歪んだ。
「あっ………。私は………ライラ。」
私の名前はライラ。
しっくりとくる名前。
今までどうして、忘れていたのだろうか。
でも、そうするとこのレイチェルとしての私の記憶は………いったいなに?
「そう、ライラと言うんですね。出身国はどこですか?」
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そう。私はスラムで暮らしていた。日々の生活もやっとで、盗みも働いたし、生きるためなら、なんだってやった。
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そして、私は生きるために暗殺者集団に入ったのだ。
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