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しおりを挟む「エドワード様。従者はどうしたのですか?お一人ということはございませんでしょう?」
エドワード様とお会いしてからずっと気になっていたことを確認する。
一人は重傷を負い、助かる見込みがなかったので、手厚く葬った。
ただ、従者が一人のはずがない。
仮にも帝国の皇太子だ。
エドワード様は苦虫を噛み潰したような表情を一瞬だけしたが、すぐに表情を元に戻した。
「従者は皆死んだ。今は一人だ。」
「そう、ですか。」
エドワード様についているはずの従者は皆精鋭だったはずだ。
それなのに、皆死んでしまうとは・・・。何人でここまで来たのだろうか。
エドワード様はいったい誰と戦ったというのだろうか。もしくは奇襲でもあったのだろうか。
「何人でいらしたのですか?なにがあったのですか?」
「・・・君には関係ない。」
エドワード様はこれに関しては教えてくれなかった。
もしかしなくとも、とても少ない人数だった?
「服と食べ物を調達してくれて助かった。ここから先は一人で行くゆえ君はもう帰りなさい。」
エドワード様はさっさと食べ終えると、着替えをすました。
元の洋服についてはどこに仕舞ったのか手には持っていなかった。
「いえ。着いていかせてください。」
「ダメだ。帰りなさい。」
エドワード様に着いていこうとするが、帰れと言う。
それはそうだろう。
私の中身はレイチェルでも、見た目はエドワード様が知らない誰かなのだ。
もちろん、私もこの身体が誰のものかはわからない。
警戒してしかるべきだろう。
「いいえ。私は着いていきます。」
強い意志を込めてエドワード様を見つめる。
思えば、このようにエドワード様に強く意見をしたことはあっただろうか。
「不要だ。私は先を急ぐ。君は足手まといだ。」
冷たい目線が私を射抜く。
「着いて行かせてください。」
負けじと見つめ返す。
すると、エドワード様は根負けしたのか、「はぁ・・・。」と一つため息をついた。
「勝手にしろ。ただ、私の邪魔だけはするな。それと、君のことはいないものとして扱うからな。」
エドワード様はそれだけ言うと、身なりを整えて歩き出した。
「ありがとうございますっ!」
エドワード様の後姿にお礼を言う。そうして、私もエドワード様の背を追って小走りで前に進む。
このまま何事もなく、エドワード様と一緒にハズラットーン大帝国に帰れると信じて。
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