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夜になり、エドワード様がやっと部屋に帰ってきた。
久々に帰ってきた。

「エドワード様。お帰りなさいませ。お疲れでしょう?侍女に頼んで部屋までお食事を運んでもらいましょうか?」

「必要ない。食べてきた。」

「そうですか・・・。」

折角忙しい中帰ってきてくださったエドワード様になにかしたくて、声をかける。
しかし、エドワード様はすでに食事を済ませてきたという。
私でなくとも、皇太子であるエドワード様の周りにはたくさんの人がいて、エドワード様を気にかけてくださっている。
きっと、その人たちが夕食を用意してくださったのだろう。
最近はなかなか部屋にも帰ってこれないくらいに忙しいみたいだし。身体を壊さなければいいけれども。

「レイチェルに用事があって戻ってきたんだ。」

「はい。なんでしょうか?」

なぜ、エドワード様はわざわざそんなことを言うの?それじゃあまるで、私に用事がなければこの部屋に帰ってこなかったと言っているようなものではないか。
なんだか、とても嫌な予感がする。
エドワード様の表情もいつもと違って固いままだし。最近、エドワード様の笑顔を見ていないような気がする。
ちょっと前まではエドワード様の笑顔しか見ていなかったはずのに。

「レイチェルの部屋だが目処がたった。明日中には準備が整うだろうから、準備が出来たらそちらに移動してくれ。」

「えっ・・・あっ、はい。」

用事って私の部屋のこと。
本当に用意していたんだ。
確かに部屋の用意ができるまで、ってことでエドワード様の部屋で過ごしていたんだけれども、いざ部屋が用意されたとわかるとなぜだか、心が落ち着かない。

「では、私は執務に戻る。レイチェルはお腹の子のためにも早く休むといい。」

「えっ・・・。」

エドワード様はそう言って足早に部屋を出ていってしまった。
今日はここで一緒に休んでくれるのではないの?
それほど忙しいの・・・?
エドワード様の身体が心配になると同時に、もしかして私がここにいるから帰って来たくないんじゃないかって妙に勘繰ってしまう。
それに、撫でても抱き締めてもキスしてもくれなかった。
私はエドワード様の言うとおりに、ベッドに横になった。
もう結構遅い時間だ。それでも、エドワード様が帰ってきてくれるかとずっと待っていたのに・・・。
白い枕に知らないうちに溢れた涙が吸い込まれていく。



私に用意された部屋はゲストルームだった。ユキの部屋の隣に私の部屋は用意されていた。
この部屋だったら準備もなにもいつだって、誰が来たってすぐに泊めることができるはずなのに。
今までどうして部屋が用意できないからとエドワード様の部屋に私はいたのだろうか。
ゲストルームだったら私が皇太子宮に来た初日から使用できただろうに。
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