妹が寝取った婚約者が実は影武者だった件について 〜本当の婚約者は私を溺愛してやみません〜

葉柚

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反逆罪は死罪が妥当……

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「王家に対する反逆罪は死刑に値する。それは、知っておるな?」

 王様はゆったりとした口調で告げる。
 
「もちろん承知しております。」

 お父様はそう答えた。
 
 お母様の顔は真っ白だ。だが、アルフォネアがいた時よりも顔色が良いような気がする。
 
「うむ。して、ユルスグレーン侯爵。そなたは、王家に対して反逆の意思は持っておるか?私になりかわって王になりたいと思うか?」

 王様はお父様に尋ねる。
 
 王様はなぜそんなことを尋ねるのだろうか。

「滅相もございません。私は侯爵の地位をたまわれた。それだけで十分にございます。王になるなど恐れ多いことにございます。」

 お父様はひれ伏すように王様にお伝えする。
 
 王様はお父様の答えを聞いて満足そうに笑った。

「であろうな。ユルスグレーン侯爵は常に平等な考えを持ち、自分の地位に相応しいおこないをしてきた。領地の経営も順調で、領地から不満の声も上がってはいない。そなたが野心を持つタイプではないことは周知の事実だ。ゆえにステファニー嬢をルーンファクトの婚約者として認めたのだ。」

「はっ。」

 どうやら王様は私がルーンファクト様の婚約者候補として名が挙がったときに、我がユルスグレーン侯爵家に対して調査をおこなったようだ。
 
 きっと、ルーンファクト様がお父様にいいように使われたりしないように、お父様が権力を振るうようにならないように、きちんと下調べをしていたのだろう。
 
「ゆえに、ユルスグレーン侯爵家に罰をくだすが死罪にとは考えてはおらぬ。そうだな……アルスレーン地方の教会に今後維持費を寄付するように。ただ、領民への重税は許さぬ。」

「はっ。承知いたしました。……ですが、そのような軽い罰でよろしいのでしょうか。」

 王様の提示した罰はアルフォネアが犯した罪に比べたら随分と軽いように思える。王族に対して暴言を吐いたのだ。これだけで済ましてしまって良い物なのだろうか。
 
 お父様も同じことを思ったようで、王様に問いかけた。
 
 それにしても、なぜアルスレーン地方の教会なのだろうか。アルスレーン地方とは酷く廃れた地方だと聞く。大地は作物がなかなか育たず、気候は常に寒いと聞く。

「軽くはないと思うぞ。侯爵が存命中はずっと寄付を続けるのだ。毎年変わらずに、だ。」

「……承知しました。」

 お父様はそれだけで許されるのかと安堵したようだ。

「また、アルフォネアについては別だ。あれは矯正する必要がるだろう。ぬるい矯正だとまたすぐにつけあがる。厳しい矯正が必要だと私は考える。」

 王様は先ほどとは打って変わって口調を厳しいものに変えた。

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