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王宮に家族全員で行くことになりました……
しおりを挟む数日後、私たちの元にユルスグリーン侯爵家一家王宮へ来るようにとの王命が届いた。
「……私たち、どうなってしまうのかしら。」
「……アルフォネアがしたことは王家に対する冒涜に値する。最悪侯爵家の取り潰しになるかもしれないなぁ。」
「そんなっ!ステファニーはルーンファクト殿下の婚約者なんですよ。それなのに……そんなことになったらステファニーの人生が……。私がもっとアルフォネアに意識を向けていれば。侍女たちにアルフォネアのことを任せっきりにせずに、私がアルフォネアを厳しくしつけていればこんなことにはならなかったのかしら。」
「私も、育児のことはおまえに任せっきりだった……。おまえだけの責任ではない。とくにアルフォネアは苦手だったから、できるだけ避けていたのは事実だ。私にも責任はある。だが、ステファニーには何の責任もない。せめて、ステファニーだけはなにも罰を受けるようなことがなければいいのだが……。」
お父様とお母様が王家から承るであろう罰について話し合っている。
お父様とお母様は罰を受け入れる覚悟でいるらしい。
二人とも育児に対して侍女に任せっきりだったことを悔いているようだ。
「ふふっ。早く王宮に参りましょう。ルーンファクト様の影武者と私は問題なかったんだもの。私のことをルーンファクト様が今か今かと待ちわびているわ。それに王様と王妃様も私を一日も早く王室に迎え入れたいはずよ。」
アルフォネアだけは罰が待っているとは思わずに虚しい希望だけを口にした。
アルフォネアの場の空気を読まない発言に私たちは閉口する。
なにがどうすれば、そのような考えに至るのか理解ができない。
「……アルフォネア、あなたまだそんなことを言っているの。」
「……アルフォネア、王宮に行こう。そこで、どんなことが待っていても心を強く持ちなさい。」
お母様は呆れたように呟いた。
お父様は下手にアルフォネアに対する罰が待っているとアルフォネアに告げることで、アルフォネアが逃げ出すことを懸念する。そして、本当のことは言わずにアルフォネアの勘違いを利用して王宮に行こうと伝える。
「ええ。もちろんよ。王宮が待ち遠しいわ。この日のために今日はいつも以上におめかしをしたのよ。うふふ。お父様もお母様もお姉さまも今日はいつも以上に地味な恰好だわ。私が王家に迎え入れられる日なのよ。もっと華やかな恰好にすべきよ。」
「……アルフォネア、私たちはこの格好でいいんだ。アルフォネアだけ浮いている。もっと地味な恰好に着替えてきなさい。」
「嫌よ。なんで?今日は私の記念すべき日になるのよ。どうして地味な恰好をしなければならないの?」
「……わかった。」
お父様はアルフォネアを諭してみようとするが早々に諦めた。お母様も私も同じだ。
既に何回も今日の服装についてアルフォネアに苦言を呈しているのだ。それでも聞き入れてもらえなかったため諦めた。実際に王宮から罰が提示されれば、アルフォネアも現実が見れるだろうと、そう考えたのだ。
私たちは王宮に向かう。
馬車の中ではアルフォネアだけが上機嫌だった。
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