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お母様が乱入してきました
しおりを挟む「あの……ルーンファクト殿下……アルフォネアの……。」
ユルスグレーン侯爵はルーンファクトとファルコンを交互に見ながら声を出した。
アルフォネアはいろいろ問題のある子だが、ユルスグレーン侯爵にとっては家族なのだ。
「さて、私には身に覚えがない。執務が忙しくて、愛しのステファニーにもほとんど会えなかったのだ。」
「オレじゃない。確かにアルフォネアには近づいたが、身体は重ねてない。」
ユルスグレーン侯爵がなにを言いたいのか察したルーンファクトはユルスグレーン侯爵がみなまで言う前に無実であることを伝える。ファルコンも無実を訴える。
「そうですか……。では、いったい……?」
ユルスグレーン侯爵も二人が無実を訴えるのならば強くでることができない。証拠がないからだ。それに多少(?)の妄想癖があるアルフォネアのことだ。アルフォネアが嘘を言っている可能性も低くはない。
「……アルフォネアと親しい男性はいたのですか?」
ルーンファクトはユルスグレーン侯爵に尋ねた。
ユルスグレーン侯爵は力なく首を振る。
「お恥ずかしながらアルフォネアとは距離をおいていました……。私の娘として育てておりましたが、私は正直なところアルフォネアが苦手で妻にまかせっきりで……。」
「……そうでしたか。」
ユルスグレーン侯爵は自分がアルフォネアに関わってこなかったということに気づき顔を曇らせた。
「失礼いたしますわ。」
そこに、ユルスグレーン侯爵婦人がやってきた。侍女から騒動を聞いてかけつけたのだ。
「ユルスグレーン侯爵婦人……。」
「侍女から話は聞きました。このたびはアルフォネアがとんだご無礼を働いたとか。大変申し訳ございません。」
ユルスグレーン侯爵婦人はルーンファクトとファルコンに向かって頭を下げた。
「……妹の忘れ形見だからとアルフォネアを自由に育てすぎてしまいました。お恥ずかしい話、私も話が通じないアルフォネアのことが苦手で、アルフォネアの世話を使用人に任せきりで……。正直社交界にも出せるような状況ではありませんでしたので、社交界には出さずに過ごさせておりました。アルフォネアは家の中と時々使用人を連れてお忍びで街に行っていたようではありますが……どなたか好いた方がいるなど聞いたこともなく……。」
「ああ。わかった。」
「ルーンファクト殿下には大変失礼なことをいたしました。罰はお受けいたします。」
ユルスグレーン侯爵婦人はその場に跪いた。ユルスグレーン侯爵も侯爵婦人とともにその場に跪く。
「立ってください。ユルスグレーン侯爵、侯爵婦人。その話は後にしましょう。私だけでは何も決められません。王妃様もアルフォネア嬢にはご立腹でいるので。王妃様とも相談したいと思います。」
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