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アルフォネアが乱入してきました……
しおりを挟む「ルーンファクトさまぁ~。いらしてたんですねぇ。」
ファルと話しているとノックもなしに応接室のドアがバンッと開いた。
「アルフォネアお嬢様っ!お待ちくださいませっ!お客様がいらしているのですから急にドアを開けてはなりませんっ。」
「もう!いいじゃない!ルーンファクト様は私の旦那様になる方なんだからっ!」
アルフォネアを侍女のニコルが止めるが、アルフォネアは気にすることもなくルーンファクト様のそっくりさん……ファルに駆け寄っていった。そして、ファルにぎゅっと抱きつく。
「もう!いらっしゃっていたのならすぐに教えてくださいませっ!アルフォネアはルーンファクト様にお会いしたくて仕方なかったのですわ。昨日はルーンファクト様ったらとっても他人行儀だったし、心配していたんですよ。アルフォネアに心配をかけるルーンファクト様は悪い人ですっ!」
頬をぷくっと膨らませてファルに言いつのる。
ファルはルーンファクト様じゃないのに。
昨日本物のルーンファクト様に会ったというのに、アルフォネアにはルーンファクト様とファルの違いもわからないのだろうか。それでよく好きだと言えるものだ。
「あー。アルフォネア嬢。私は君のお姉さんのステファニー嬢と結婚する予定であって、アルフォネア嬢は将来私の義妹になるんだよ。」
「まあ!そんなっ!!王妃様も私にはルーンファクト様が相応しいとおっしゃっておりましたわっ!ルーンファクト様は私の旦那様になるのですわ。ルーンファクト様はお姉様の旦那様にはなりませんの!」
アルフォネアはそう言ってファルにひっついた。
まあ、ファルだからまだいいんだけど、これが本物のルーンファクト様だったら許せなかったわね。
「えっと、アルフォネア嬢?私の話を聞いているかい?」
「ええ!もちろんですわっ。ルーンファクト様も私に会いたかったのでしょう?だからお姉様をダシにして私に会いに来てくださったのでしょう。知っているんですよ。」
「はははっ。アルフォネア嬢は面白いね。私は君ではなくステファニー嬢に会いに来たんだよ。私の婚約者であるステファニー嬢に会いにきたんだ。私じゃあ君に相応しくないからね。」
「そんなことありませんわっ!私、ルーンファクト様以上に素敵な方にお会いしたことはございませんの。ルーンファクト様が一番ですわ。お姉様にはルーンファクト様はもったいなさ過ぎますっ!ルーンファクト様の隣には私こそが相応しいのですわ。」
「あー。君が魅力的なのは知っているが、私にはステファニー嬢の方が好みなんだよ。」
「まあ!そんなっ。お姉様が目の前にいらっしゃるからそんなこと言うのでしょう?こないだは私のことを愛しているとおっしゃったではありませんかっ。私が一番だっておっしゃっていたではありませんか。」
アルフォネアは目にたっぷりと涙をためてファルを見つめる。
まあ、確かにファルはアルフォネアに愛を囁いたのだろう。アルフォネアと関係を持つために。ルーンファクト様に嫌がらせをするために。
「はっはははっ。婚約者がいる男の言葉を本気にしちゃいけないよ?アルフォネア嬢。」
ファルは乾いた笑いを浮かべながら視線を私に移した。その目は私に助けてくれと訴えているように見えた。
助けてくれもなにもファルの自業自得だと思うのだけれども。
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