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ルーンファクトと王妃の会話

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 ステファニーとアルフォネアが逃げるように王宮を去った後、王宮の庭に用意された椅子に王妃は座り込んだ。

「嵐のような娘でしたわね。私、とっても疲れました。」

「ええ。まさかあれほどとは思いませんでした。ユルスグレーン侯爵に、アルフォネア嬢には近づかないようキツく言われたのですが、こういうことでしたか。」

「あら。ユルスグレーン侯爵がそんなことを言っていたの。」

「はい。ユルスグレーン侯爵もアルフォネア嬢には手を焼いているようです。」

「あの様子じゃあねぇ。なんでもかんでも自分の都合の良いように受け取るものだから説得も難しいのでしょう。」

 王妃は大きなため息をついた。

「アルフォネア嬢だけは王室に迎え入れてはなりませんよ。なにがあっても阻止してください。アルフォネア嬢が王室の一員になどなったら、この国が内側から崩壊することでしょう。」

 よっぽど王妃はアルフォネアのことを腹に据えかねているらしい。

「もちろんです。アルフォネア嬢がなにを画策してこようと跳ね除けてみせます。」

 ルーンファクトは王妃に向かって断言した。

 ルーンファクトも話の通じないアルフォネア嬢だけは、相容れない存在だと思ったのだ。

「……ステファニーさんはとても好ましい令嬢なのに、なぜアルフォネア嬢は……。ああ、そうだわ。ステファニーさんとルーンファクトが婚姻を結べば、アルフォネア嬢はあなたの義妹になるのよね。」

「そうですね。考えたくもありません。」

 ステファニーとルーンファクトが婚姻すれば、もれなくアルフォネアがルーンファクトの義妹になる。

 そのことに気づいてルーンファクトは背筋に冷たいものを感じた。

「……いっそのこと、ステファニーさんとの婚約を破棄するのも手よ。」

 王妃の提案にルーンファクトはビクッと背筋を震わせた。

「母上!いくらなんでもそれは……。」

「でも、アルフォネア嬢が義妹になるのは嫌でしょう?あの性格だもの。ステファニーさんが王家の一員となったら、アルフォネア嬢がその特権を振りかざしそうだわ。考えただけでも目眩がするわ。」

 王妃は額を押さえて身体をよたらせる。

「母上!!私がなんとかアルフォネア嬢を抑えますから!だから、ステファニー嬢との婚約はこのまま続けさせてください。ステファニー嬢にはなにも落ち度はないのです。ステファニー嬢はとても慎ましく穏やかで優しい心根の女性です。私にとってステファニー嬢は、奇跡のような存在なのです。私にはステファニー嬢しか考えられないのです。」

 ルーンファクトは王妃の目を見て懇願する。

 実はルーンファクトとステファニーの婚約はルーンファクトが強く望んだから実現したことだったのだ。

「ふふ。わかっているわ。冗談よ。あまりにもアルフォネア嬢と縁を結びたくなくて。ステファニーさんはあなたの初恋の女性ですものね。もう10年も想い続けているんですもの。‥……でも、アルフォネア嬢はあなた方が婚姻するには一番の障壁になるかもしれませんね。」

「……。」

 王妃もルーンファクトもアルフォネアの存在に頭を悩ませるのだった。
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