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わかってくれたのよね……?
しおりを挟む「お、お父様……。」
お父様が声を荒げるなんて何年ぶりだろうか。いつも、冷静なお父様がらしくない。
「お父様っ!そうですわよね!お母様もお姉様もおかしいですわよね。私の方がルーンファクト様に相応しいのだもの。ねえ?お父様。お願いよ。私、ルーンファクト様の婚約者になりたいの。いいでしょ?」
怒りをあらわにしているお父様にかまわず、アルフォネアはお父様におねだりをしている。まあ、内容はおねだりというほどには可愛くないが。
アルフォネアには甘かったお父様だから、今回もアルフォネアに味方をすると思っているのだろう。
「……淑女、という言葉を知っているかね?」
「……?お父様、何を言っていらっしゃるの?」
アルフォネアはお父様が言った言葉を理解できずに首を傾げている。きっと、お父様は「わかった。」と返事をするものと思ったのだろう。
「ルーンファクト殿下は将来国王となるお方だ。ルーンファクト殿下の隣には淑女たる妃が必要だ。貴族女性だけではなく、貴族と平民両方のお手本となるような淑女が相応しいと私は考えている。」
「……?」
お父様の回りくどい言い方にアルフォネアは首を傾げる。
それからしばらくしてお父様の言葉を飲み込んだのか、ぱぁああああっと明るい笑みを浮かべた。
「そうですわよね!ルーンファクト様の隣には誰もが憧れるような素晴らしい女性が並ぶのが相応しいですわよね。うふふ。」
先ほどとは打って変わってニコニコした笑顔を浮かべるアルフォネアに薄ら寒いものを感じる。
「あ……ああ。やっとわかってくれたか。アルフォネア。」
お父様はどこかしっくりときていないようだが、アルフォネアが頷いたのでそれ以上何も言わなかった。
確かにこれだけはっきりとアルフォネアはルーンファクト様に相応しくないと言ったのだもの。きっとアルフォネアは理解してくれたのだろう。
ただ、理解したはずなのになぜだか満面の笑みを浮かべているアルフォネアが私には不気味に思えた。
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