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番外編
お花見しよう! 7
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「では、みんな飲み物が行きわたったようじゃの。それでは、乾杯。」
「「「「「かんぱーい。」」」」」
村長さんの合図で私たちは飲み物を手にとってグラスを……もといお猪口を高く掲げた。マーニャたちはミルクの入ったお皿を持ち上げることが出来ないから、私たちを真似て右前足を高く掲げているが。
「うむ。この酒は実にうまい。もう100年は飲んでいなかったような名酒だなぁ。」
村長さんが持ってきたお酒を一口飲んだプーちゃんは上機嫌にわらった。どうやらプーちゃんはお酒の味がわかるようだ。もしかして、プーちゃんって酒好きなのだろうか。
「ほっほっほっ。長年村長をやっておれば、このような名酒にもありつける。この酒の良さをわかってくれて嬉しいわい。」
「軽やかな甘さと突き抜けるような香り。そしてこの芳醇な味わい。とても素晴らしいのだ。」
「ほっほっほっ。流石はプーちゃんじゃのぉ。よくわかっておる。ささ、こっちの酒もうまいでの。」
村長さんはそう言ってプーちゃんにもう一方のお酒を注ぐ。
プーちゃんは注がれたお酒の香りを目を瞑って楽しむ。
「うむ。これも良い香りなのだ。」
「そうであろう。そうであろう。」
どうやらプーちゃんと村長さんは気があうようで二人でお酒の話で盛り上がっている。
まあ、プーちゃんが暴れないならいいか。
「お花見って綺麗ね。」
「そうだね。」
「でも、あっという間に散ってしまってもったいないわ。」
「綺麗だからこそ、花の寿命は短いのよ。長く咲き誇っていたら、見飽きてしまって綺麗だと思わなくなってしまうわ。パッと咲いてパッと散る。だからこそ、いいのよ。」
ユキさんはそう言ってどこか遠くを見るように微笑んだ。
「あーーーーっ!!それマーニャのミルクっ!!!」
「早い者勝ちなのーーーっ。」
「わぁ。チーズもマグロも美味しいのぉ。」
「あっ!!クーニャ!!あたしの分のチーズとマグロ残しておいてなのーー!って、ボーニャミルク返してー!」
「やなのーーーっ。」
マーニャたちはマーニャたちで食べ物を我先に満喫しようとして軽く喧嘩が起き始めている。
まあ、じゃれていると言った方が正しいのかもしれないけど。
「マーニャ。安心して。まだミルクあるから。ボーニャ、ミルクも飲み過ぎるとお腹を壊すからね。クーニャもあまり食べすぎると後で苦しくなっちゃうよ。」
私はマリアたちと話をしながら、マーニャたちの仲裁……もといお世話をする。
いつも通りの賑やかな日常はとても愛しかった。
できればこんなに騒がしくて幸せな日常がいつまでも続きますように。心の中で願いながら桜を見上げた。
終わり。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
お花見の番外編は以上になります。
また次回の番外編でお会いできれば幸いです。
「「「「「かんぱーい。」」」」」
村長さんの合図で私たちは飲み物を手にとってグラスを……もといお猪口を高く掲げた。マーニャたちはミルクの入ったお皿を持ち上げることが出来ないから、私たちを真似て右前足を高く掲げているが。
「うむ。この酒は実にうまい。もう100年は飲んでいなかったような名酒だなぁ。」
村長さんが持ってきたお酒を一口飲んだプーちゃんは上機嫌にわらった。どうやらプーちゃんはお酒の味がわかるようだ。もしかして、プーちゃんって酒好きなのだろうか。
「ほっほっほっ。長年村長をやっておれば、このような名酒にもありつける。この酒の良さをわかってくれて嬉しいわい。」
「軽やかな甘さと突き抜けるような香り。そしてこの芳醇な味わい。とても素晴らしいのだ。」
「ほっほっほっ。流石はプーちゃんじゃのぉ。よくわかっておる。ささ、こっちの酒もうまいでの。」
村長さんはそう言ってプーちゃんにもう一方のお酒を注ぐ。
プーちゃんは注がれたお酒の香りを目を瞑って楽しむ。
「うむ。これも良い香りなのだ。」
「そうであろう。そうであろう。」
どうやらプーちゃんと村長さんは気があうようで二人でお酒の話で盛り上がっている。
まあ、プーちゃんが暴れないならいいか。
「お花見って綺麗ね。」
「そうだね。」
「でも、あっという間に散ってしまってもったいないわ。」
「綺麗だからこそ、花の寿命は短いのよ。長く咲き誇っていたら、見飽きてしまって綺麗だと思わなくなってしまうわ。パッと咲いてパッと散る。だからこそ、いいのよ。」
ユキさんはそう言ってどこか遠くを見るように微笑んだ。
「あーーーーっ!!それマーニャのミルクっ!!!」
「早い者勝ちなのーーーっ。」
「わぁ。チーズもマグロも美味しいのぉ。」
「あっ!!クーニャ!!あたしの分のチーズとマグロ残しておいてなのーー!って、ボーニャミルク返してー!」
「やなのーーーっ。」
マーニャたちはマーニャたちで食べ物を我先に満喫しようとして軽く喧嘩が起き始めている。
まあ、じゃれていると言った方が正しいのかもしれないけど。
「マーニャ。安心して。まだミルクあるから。ボーニャ、ミルクも飲み過ぎるとお腹を壊すからね。クーニャもあまり食べすぎると後で苦しくなっちゃうよ。」
私はマリアたちと話をしながら、マーニャたちの仲裁……もといお世話をする。
いつも通りの賑やかな日常はとても愛しかった。
できればこんなに騒がしくて幸せな日常がいつまでも続きますように。心の中で願いながら桜を見上げた。
終わり。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
お花見の番外編は以上になります。
また次回の番外編でお会いできれば幸いです。
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