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番外編
6
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★★★
「た、大漁だったね。頑張ったね、マーニャ、クーニャ、ボーニャ。」
結局あのあと三匹は自分たちの体力が限界を迎えるまでじゃれ合いながらも競い合った。そしてバケツの中には合計5匹のうなぎが泳いでいた。マーニャとクーニャが二匹ずつ、ボーニャが一匹を捕まえたものだ。
少しおっとりしたところがあるボーニャはうなぎを最初の一匹以外捕まえることができなかったのだ。逆に水は嫌いだがすばしっこくて要領がいいクーニャはマーニャが一匹捕まえる間に華麗に二匹捕まえてきたのだった。
「疲れたの-。もう限界なのー。早くうなぎ食べるのー。」
「クーニャはミルクがいいのー。喉渇いたの。からからなのー。」
「眠いのー。おうち帰って寝るのー。」
あれだけ大騒ぎすれば喉も渇くし疲れもするだろう。
「そうだね。じゃあ、おうちに帰ろうか。ああ、でもご飯を食べる前にお風呂ね。しっかり三匹とも泥だらけになっちゃってるからね。ちゃんとに洗わないといけないよ。汚れていると気持ちが悪いでしょう?」
「ええええーーーー!!うなぎ!!うなぎは!!!」
「ミルクーーー!!ミルクくらい先にちょうだいなのーーーっ!!」
「やだやだやだ!!お風呂嫌いなのーーーっ!!マコトのところのお風呂ならいいけど、マユのおうちのお風呂はいやーーーーっ!!」
ご飯を食べる前に汚れた身体を洗おうと言ったら、マーニャたちが騒ぎ出した。
「でも、うなぎを捌いたりしないといけないから食べるまでには時間がかかるよ。あー、お風呂はそうだね。マコトさんにお願いしようか。ミルクは……喉渇いたよね。泥だらけで気持ち悪くないんだったらここで飲んじゃおっか。」
「うなぎまるかじりにすればいいの!!一匹ちょうだいなの!!活きが良いから生でいけるの!!」
「マコトのところのお風呂ならいいの。ミルク飲んだらすぐいくの。」
「ミルク♪ミルク♪」
三匹を諭すように言えば、クーニャとボーニャが素直に頷いた。だけれども、マーニャはまだうなぎの方が気になるらしい。生で丸かじりすると言ってきた。
「あら、だめよ。マーニャ。うなぎの生き血は毒だからね。お腹壊しちゃうわよ。最悪、死んじゃうかもしれないわよ。」
私がマーニャをどうやって説得しようかと悩んでいると、真剣な目をしたユキさんが、マーニャにうなぎの生き血には毒があると教えていた。それを聞いたマーニャは顔を真っ青にする。
「い、いいのっ。待つの。捌いて焼いてくれるまで待つのっ!!」
さすがの食い意地のはったマーニャでも、お腹を壊したり死んでしまうかもしれないというのにはとても驚いたようで、素直にうなぎが捌かれるのを待つことにしたようだ。
「ありがとうございます。ユキさん。」
私は、マーニャを説得してくれたユキさんにお礼を言う。
「あら。いいのよ。本当のことだから。うなぎの血に毒があるって話は嘘じゃないからね。マユさんも気をつけてくださいな。」
ユキさんはなんでもないことのように、にっこり微笑んでうなぎの血には毒があるということを教えてくれた。
私はてっきり、ユキさんがマーニャを諭すためについた嘘だと思ったのだが、どうやら違ったらしい。ユキさんは正しいことをマーニャに教えていたようだ。
知らなかった。うなぎの生の血には毒があるなんて……。
うなぎを生で食べようとすら思ったことがない私には血に毒があるなんて知識全くなかった。
よかった。ユキさんが一緒に来てくれて。
私だけだったら、マーニャを説得できずにマーニャに生のうなぎを食べさせて、マーニャを苦しませてしまっていたかもしれない。最悪死なせてしまっていたかもしれない。
改めてユキさんが一緒に来てくれたことに感謝するのであった。
「そういえば、マコトの家に行くのはいいとして、うなぎは誰が捌くのかしら?マユさん、裁き方知っているかしら?」
「え?ふつうの魚みたいに三枚におろすんじゃないんですか??」
うなぎの裁き方は三枚おろしではないのだろうか。うな重とか骨ないし。小骨はあるけど。
「マユさん……。心配だから私もうな重作りに参加させてもらうわね。」
そういうことになった。
どうやら、うなぎの裁き方というものがあるらしい。
「た、大漁だったね。頑張ったね、マーニャ、クーニャ、ボーニャ。」
結局あのあと三匹は自分たちの体力が限界を迎えるまでじゃれ合いながらも競い合った。そしてバケツの中には合計5匹のうなぎが泳いでいた。マーニャとクーニャが二匹ずつ、ボーニャが一匹を捕まえたものだ。
少しおっとりしたところがあるボーニャはうなぎを最初の一匹以外捕まえることができなかったのだ。逆に水は嫌いだがすばしっこくて要領がいいクーニャはマーニャが一匹捕まえる間に華麗に二匹捕まえてきたのだった。
「疲れたの-。もう限界なのー。早くうなぎ食べるのー。」
「クーニャはミルクがいいのー。喉渇いたの。からからなのー。」
「眠いのー。おうち帰って寝るのー。」
あれだけ大騒ぎすれば喉も渇くし疲れもするだろう。
「そうだね。じゃあ、おうちに帰ろうか。ああ、でもご飯を食べる前にお風呂ね。しっかり三匹とも泥だらけになっちゃってるからね。ちゃんとに洗わないといけないよ。汚れていると気持ちが悪いでしょう?」
「ええええーーーー!!うなぎ!!うなぎは!!!」
「ミルクーーー!!ミルクくらい先にちょうだいなのーーーっ!!」
「やだやだやだ!!お風呂嫌いなのーーーっ!!マコトのところのお風呂ならいいけど、マユのおうちのお風呂はいやーーーーっ!!」
ご飯を食べる前に汚れた身体を洗おうと言ったら、マーニャたちが騒ぎ出した。
「でも、うなぎを捌いたりしないといけないから食べるまでには時間がかかるよ。あー、お風呂はそうだね。マコトさんにお願いしようか。ミルクは……喉渇いたよね。泥だらけで気持ち悪くないんだったらここで飲んじゃおっか。」
「うなぎまるかじりにすればいいの!!一匹ちょうだいなの!!活きが良いから生でいけるの!!」
「マコトのところのお風呂ならいいの。ミルク飲んだらすぐいくの。」
「ミルク♪ミルク♪」
三匹を諭すように言えば、クーニャとボーニャが素直に頷いた。だけれども、マーニャはまだうなぎの方が気になるらしい。生で丸かじりすると言ってきた。
「あら、だめよ。マーニャ。うなぎの生き血は毒だからね。お腹壊しちゃうわよ。最悪、死んじゃうかもしれないわよ。」
私がマーニャをどうやって説得しようかと悩んでいると、真剣な目をしたユキさんが、マーニャにうなぎの生き血には毒があると教えていた。それを聞いたマーニャは顔を真っ青にする。
「い、いいのっ。待つの。捌いて焼いてくれるまで待つのっ!!」
さすがの食い意地のはったマーニャでも、お腹を壊したり死んでしまうかもしれないというのにはとても驚いたようで、素直にうなぎが捌かれるのを待つことにしたようだ。
「ありがとうございます。ユキさん。」
私は、マーニャを説得してくれたユキさんにお礼を言う。
「あら。いいのよ。本当のことだから。うなぎの血に毒があるって話は嘘じゃないからね。マユさんも気をつけてくださいな。」
ユキさんはなんでもないことのように、にっこり微笑んでうなぎの血には毒があるということを教えてくれた。
私はてっきり、ユキさんがマーニャを諭すためについた嘘だと思ったのだが、どうやら違ったらしい。ユキさんは正しいことをマーニャに教えていたようだ。
知らなかった。うなぎの生の血には毒があるなんて……。
うなぎを生で食べようとすら思ったことがない私には血に毒があるなんて知識全くなかった。
よかった。ユキさんが一緒に来てくれて。
私だけだったら、マーニャを説得できずにマーニャに生のうなぎを食べさせて、マーニャを苦しませてしまっていたかもしれない。最悪死なせてしまっていたかもしれない。
改めてユキさんが一緒に来てくれたことに感謝するのであった。
「そういえば、マコトの家に行くのはいいとして、うなぎは誰が捌くのかしら?マユさん、裁き方知っているかしら?」
「え?ふつうの魚みたいに三枚におろすんじゃないんですか??」
うなぎの裁き方は三枚おろしではないのだろうか。うな重とか骨ないし。小骨はあるけど。
「マユさん……。心配だから私もうな重作りに参加させてもらうわね。」
そういうことになった。
どうやら、うなぎの裁き方というものがあるらしい。
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