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番外編

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「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

 マーニャとボーニャは声にならない声をあげてこちらに走ってくる。口には黒く長いものをそれぞれ咥えている。

「にゃっ!!」

 ボーニャの口から黒く長いものが落ちた。ボーニャは慌ててそれに噛みつく。ぬるぬるとしているからか、なかなか上手いように噛みつけなくて時間をロスするボーニャ。
 その隙にマーニャが可憐にボーニャを抜いてゴールする。

「にゃあ!!」

 嬉しそうにマーニャが声をあげた。その瞬間。マーニャが口にくわえていた黒く長いうなぎがボタリと地面に落ちて苦しそうにのたうち回った。

「あっ!うなぎだわ!!マーニャもボーニャもすごいのねぇ。」

 ユキさんは、にこにこ笑いながらマーニャの頭を撫でている。

「そっか。これがうなぎなんだ……。」

 初めて生きているうなぎを見た私はショックを隠せないでいた。
 うん。うなぎってあんま可愛くない……。
 
 マーニャが落としたうなぎを拾おうと手を伸ばす。

 つるっ……。
 つるっ……。

 だけれども、ツルツルしているうなぎをうまく掴むことができない。
 よくこんなにツルツルするうなぎをマーニャとボーニャは持ってくることができたなと、改めて感心する。

「あらあら、マユさん。うなぎと戯れていないで早くバケツにいれないと。」

 ツルツルと滑ってしまってうなぎが掴めなくて苦戦しているとユキさんが苦笑いした。

 わかってるんだけどね。掴めないのよ。滑っちゃって。

「マユ!こういうときはこうするのっ!!」

 そう言ってマーニャがお手本を見せるかのうように、うなぎの頭の付け根あたりに噛みついた。ブスッとマーニャの牙がうなぎの皮膚に突き刺さる。
 そして、そのままマーニャはうなぎを持ち上げてバケツの中にサッと入れた。
 どうやらマーニャは先ほどのうなぎとの格闘で捕まえるのが上手くなったようだ。
 っていうか、マーニャが必死にうなぎの捕まえ方を私に教えようとしてくれているが、ごめんよ。マーニャ。私には牙がないんだよ。

「もう一匹捕まえてくるのっ!!」

 マーニャは私に教えても無駄と思ったのか、もう一度水の中に飛び込んでいった。
 少し遅れてやってきたボーニャは、

「捕まえたのっ!!」

 と、誇らしげに微笑みながら戦利品を見せてくる。

「ボーニャはすごいね。よく捕まえられたね。偉い偉い。」

 そう言ってボーニャを褒めるとボーニャは嬉しそうに「にゃあ」と鳴き、もう一度水に飛び込んだ。
 どうやらボーニャもうなぎをもう一匹捕まえてくるようだ。

「むぅ……。」

 ボーニャとマーニャの誇らしげな表情を見て、クーニャがふて腐れたように一声唸った。そして、トボトボとマーニャたちの元に歩いて行く。
 クーニャはしばらく水を見ていたが、意を決して右前足を水につけた。

「にゃあ……。」

 が、水の中に前足を入れるのかと思えば、前足を水にちょっとつけただけですぐに前足を引っ込めてしまった。やはり水は嫌いらしい。

「にゃっ!!」

「にゃっ!!」

 そんなクーニャの様子をどう受け取ったのか、マーニャとボーニャがクーニャに向かって一声鳴いた。そして、マーニャはクーニャに向かってダイブした。

「にゃにゃっ!!?にゃーーーーーーっ!!」

 バッシャーーーンッ。

 クーニャはマーニャにダイブされたことでバランスを崩し、水の中に落ちる。

「にゃにゃーーーっ!!にゃーーーっ!!」

 クーニャは激おこである。今度はクーニャがマーニャに向かってダイブする。

 バッシャーーーンッ。

「にゃーーーーっ!!」

 クーニャとマーニャが互いにダイブしあっているのを見たボーニャは、クーニャとマーニャが遊んでいるのだと思い、クーニャとマーニャに向かってダイブする。

 バッシャーーーンッ。

「にゃーーーーーっ!!」

「にゃーーーーーっ!!」

 こうして、収集のつかない事態ができあがったのだった。




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