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番外編

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 私はマーニャたちを助けるべく、深さ5㎝程度の水深にむかって手を差し出した。まずは、近くにいるボーニャから抱き上げようと、ボーニャのお腹に手を回した。

「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

 だけれども、私に抱き上げられるのが嫌らしく、ボーニャは身をひねって全身で拒否する。

「え?ボーニャ??」

 水に濡れてパニックを起こしているのだろうか。

「ほら、ボーニャ。私だよ。マユだよ。水に濡れたのが嫌だったんだよね。ほら、水からあがって乾かそうね。」

「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

 ボーニャを諭すようにそう言いながらボーニャの身体に手をまわすがボーニャはまたもや全身を使って拒否をする。

「え?ボーニャさん??」

 ボーニャに拒否られたことに驚きを隠せない私。

「マユさん。たぶん、水に濡れたのが嫌なんじゃなくて、うなぎがいたから興奮しているのではないかしら?」

 呆然とボーニャを見つめる私に、ユキさんが教えてくれた。
 ボーニャはうなぎに興奮しているだけだ、と。
 むしろ、捕まえるのを邪魔しないでくれと言っているのではないか、と。

「えっと。ボーニャはうなぎを捕まえたいだけ?」

「にゃっ!!」

 私がボーニャに問いかけるとボーニャはこちらを見ることなく短く返事をした。
 どうやらユキさんの言うことが正しかったようだ。

「……そう。邪魔してごめん。えっと、マーニャも??」

「にゃっ!!」

 もしかするとマーニャも同じ理由かもしれないと思い至ると、私はマーニャに問いかけた。マーニャもボーニャと同じく、私を見ることなく短く返事をして答えた。
 やはり、うなぎを捕まえることに集中したいらしい。

「あ、そう。邪魔してごめんね。」

 私はそう言って二匹から距離をおいた。二匹の邪魔をしてはいけないと悟ったからだ。
 マーニャもボーニャも爛々と目を輝かせて水の中でバシャバシャと水しぶきをあげながらうなぎを追っている。
 どうやらマーニャもボーニャもうなぎを触ることはできても、ツルツル滑ってしまって捕まえることができないらしい。それでもマーニャもボーニャも諦めることなくうなぎと向かい合う。

「ふわぁあああ~。つまらないのぉ~。お腹すいたのー。マユ、ミルクちょうだいなの。」

 クーニャは熱中する二匹とは正反対にとてもクールである。うなぎを見つけたからと言って対した興味もないのでスルーして、私にミルクをせがんでいる。
 まったくミルクが大好きなクーニャだ。

「はいはい。マーニャとクーニャが水からあがったら皆でミルクを飲もうね。」

「えーーーっ!!今がいいのー!!マーニャ!!クーニャ!!早く水からでるの!!じゃないとマユがミルクくれないのっ!!」

 みんなで一緒にミルクを飲もうねとクーニャを説得しようとすると、クーニャが今すぐに飲みたいと抗議の声をあげた。
 でも、マーニャもボーニャも頑張っているのに、クーニャだけ先にミルクをあげることなんてできない。

「クーニャはお利口さんでとっても優しい子だから、マーニャとボーニャを待てるよね?」

「むーーーっ。しょうがないのっ!!クーニャは偉いからマーニャとボーニャを待つの。マーニャ!!ボーニャ!!できるだけ早く捕まえるのっ!!頑張るのっ!!」

 ミルクは飲みたいけど、マーニャとボーニャを待っていれば褒めてもらえるとクーニャはミルクを飲みたいのを我慢してマーニャとボーニャを応援しはじめた。
 もといクーニャはそれほどミルクを飲みたかったわけではなかったのだ。ただ、手持ち無沙汰だったためミルクが飲みたいと言い出しただけだった。

「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

「にゃーーー!!にゃーーーー!!にゃーーーーー!!」

 マーニャとボーニャが互いに興奮した声を上げる。そして、水の中に顔を突っ込む。それから何かを咥えて一気に水からでてこちらに走ってきた。


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