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五章

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「……どうしたらいいのぉ?どうしたら、女神の力を使うことができるのかなぁ?」

 タマちゃんは女神の力を使えば帰れるとは言うけれども、肝心の女神の力の使い方がわからない。帰れるよに何度願ってみてもダメなのだ。願う以外にどうしろと。

 私は、なんにもできない自分が嫌になってきた。

 思わず、涙がポロリとこぼれ落ちる。

『マユー。泣かないでなのー。』

『マユ。大丈夫なのー。』

『マユ。元気だしてなのー。』

「ま、ま、マユ!?泣くでないのじゃ。」

 マーニャたちが泣いてしまった私を心配して、側に近寄ってくる。マーニャとクーニャとボーニャは私にひっついて、手の甲や頬を慰めるようにそのザラザラとして舌で舐めてくる。タマちゃんも同様しているのか声を上ずらせてアワアワと私の周りを飛び回っている。

「……トマトの種を返すのじゃ。だから泣きやむのじゃ。」

 イザナギ様も泣いてしまった私を心配して近寄ってきた。そして、泣き止むように言うとなぜか先ほどイザナギ様に差し上げたトマトの種を返してきた。

 どうして、トマトの種?

 疑問はあるが、イザナギ様は私を慰めてくれようとしているのが感じられた。

「うぅ……。ご、ごめんなさい。ありがとうございますぅ……。ぐすん。」

 みんなが慰めてくれると、何故だかさらに涙がこぼれてしまった。真っ白な地面に私の涙が一つ、また一つとこぼれ落ちる。涙を止めないといけないのはわかっているのだけれども、皆が優しすぎて涙が止まらない。

 ポツ。ポツ。と私の涙が真っ白な地面に落ちて、涙が落ちた場所に小さな穴が開いた。その穴はだんだんと大きくなっていく。ひと一人くらい入りそうな穴が開いた。

「うぇ!?」

 私はビックリして声を上げた。

 だって、まさか泣いたら床が抜けましただなんて思わないじゃん。まあ、床じゃないけど。なんだろう。地面?いや、でも真っ白でふかふかしているから床なのだろうか。

『マユ、どうしたのー?』

『わー。マユの泣いた後に大きな穴ができてるのー。』

『この穴に飛び込んだら帰れるかなぁー?』

「ふむ。マユの涙は強酸だったのじゃな。」

 マーニャ達も穴が開いたことに驚いているようだ。っていうか、タマちゃん!私の涙は断じて強酸なんかじゃない。たぶん。もし、強酸だったら今頃私の顔はドロドロに溶けてると思う。だから、断じて強酸なんかじゃない。

 それにしても、クーニャ。なんてことを。この穴に飛び込んだら帰れるかだって?

 私は、穴を覗き込んだ。

 穴はとても深く先が全く見えない。

 この穴に飛び込んで帰れたとしても、穴に落ちていく恐怖感がやばい。っていうか、着地失敗したら死んじゃうじゃん。それに、いざ飛び込んでみたら全然違う場所でしたとかなったら目も当てられない。どこまで続いているかもわからない穴に落ちたら登ってくるすべがないだろう。

 ロープでも垂らして少しずつ降りてみる、か?

 いや、でもロープなんてあるのかこんなところに。いや、そもそもロープがあったとして下まで届くのだろうか。

 穴を覗き込んで考え込んでいると、肩をトンと叩かれた。

 


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