544 / 584
五章
5ー51
しおりを挟む「その、イザナミさんって人はどこにいるんですか?」
わからないなら聞くまで。
私は、イザナギ様にイザナミさんのことを尋ねた。すると、イザナギ様は目を吊り上げた。
「イザナミ様と呼ぶのじゃ!人間ごときがイザナミを「さん」付けして呼ぶのではないっ!」
「は、はあ。すみません。」
「わかったなら良いのじゃ。イザナミは妾と対になる存在なのじゃ。言わば妾の分身なのじゃ。大いに敬うのじゃ。」
「は、はあ。わかりました。」
イザナミ様はイザナギ様の対となる存在らしい。イザナミ様とやらが、イザナギ様と同じように癖のある人じゃないといいんだけど。
「あの、それでイザナミ様はどちらにいらっしゃいますか?」
「ふふんっ。ただで教えると思ったのかえ?」
気を取り直してイザナミ様の居場所を尋ねると、ふんぞり返るようにしてイザナギ様がただじゃ教えないと言ってきた。今度は何を所望されるのだろうか。
「マーニャたちをもふりたいということですか?」
「それだけじゃ足りぬのじゃ。イザナミの居場所はちゃんとに妾が把握しておるでのぉ。なにか面白いものを妾によこすのじゃ。気に入ったらイザナミの居場所を教えるのじゃ。」
イザナギ様は威張りながらこちらに要求をしてきた。どうやらさっきマーニャたちを触るだけの要求だったのは、実際に帰り道を知らなかったために少し遠慮して要求していたようだ。
しかし、面白いものと言ってもマコトさんの家から突然転移してきてしまったようなものだし、何も持っていない。なにか、イザナギ様にあげるようなものを持っていたかな。鞄を持っていれば、化粧水が何本か入っていたんだけれども。と残念に思いながらも、ポケットに何か入っていないかと思って確認をすると、指の先に何かが触れた。
少し硬めの小さな粒のような。
「はて?」何をポケットに入れていたんだっけ、と手に触れた小さい粒を取り出す。
「何かの種かな?」
出てきたのは薄いオレンジ色をした米粒ほとの小さな種だった。なんの種だろうか。
「あー!プーちゃんのトマトなのっ!!」
「えー?マユが育てたトマトだよ!」
「プーちゃんの食べ残しなのー!」
マーニャたちは私の手の中にある種を見ると急に騒ぎ出した。どうやらマーニャたちにはこれがなんであるかすぐにわかったようだ。不思議だ。マーニャたちはこんな小さな種まで鑑定できるのだろうか。
……ん?鑑定?
そういえば、私も鑑定スキルを持っていたような……。
ずっと使っていなかった鑑定スキルのことを今になってやっと思い出した。化粧水の鑑定が思うようにできないとわかったときから、鑑定スキルを発動させていなかったのだ。
私は久々に鑑定スキルを発動させて、手の中にある小さな種を鑑定する。
すると、マーニャたちが言うように確かにトマトの種だった。
しかもご丁寧に種になった経緯まで書いてある。
プーちゃんがトマトを食べている時に、プーちゃんの口から飛んできた種だとかなんだとか。それが、運よく?私の服のポケットに入ったらしい。
って!そんなとこまで説明いらないからっ!!
まあ、なにはともあれトマトの種が見つかった。でも、これをイザナギ様にあげてもイザナギ様は喜んでくれるのだろうか?
20
お気に入りに追加
2,574
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!
アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。
思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!?
生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない!
なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!!
◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる