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五章
5ー48
しおりを挟む「え?イザナギ……さま?」
イザナギ様の口から出た要望に私は間抜け面をさらしてしまった。
まさか帰り道を教える代わりにマーニャたちをもふらせて欲しいと言い出すとは思わなかったのだ。でも、流石マーニャたちだ。気難しいイザナギ様にもふらせて欲しいだなんてお願いされるとは。マーニャたちの可愛さは恐るべしである。
「なんだ、触らせてはくれないのか?なら、ここから帰る方法は教えられぬのじゃ。」
返答に戸惑っていると、イザナギ様が焦れたのかそう言ってプイッと横を向いてしまった。マーニャたちに触れなくて拗ねてるイザナギ様、面白い。とか思ったのは秘密だ。
「えっと。マーニャたちにすぐに確認しますっ!マーニャたち、イザナギ様にもふもふされたい?もふもふさせてくれたらイザナギ様が帰り方を教えてくれるんだって。」
私はマーニャたちに許可を求める。許可なく触らせるのは嫌だし。本人たちが嫌がったら帰れなくても仕方がない。ここまでこれたのだ。きっと帰り方だって運が良ければすぐにわかるはずだ。
私がマーニャたちに許可を求めると、マーニャたちはそろって首を傾げた。
なにこれ。マーニャたちが3匹そろって首を同じように傾げているだなんて。なんて、可愛いんだろうか。仕草まで一緒だなんて可愛すぎる。
「やだーっ。」
「むりーっ。」
「マユ、もふもふしてっ!!」
マーニャとボーニャがイヤイヤと首を横に振った。クーニャは私にだったらもふもふされたいと、しきりに身体を寄せてくる。
嫌がる姿も可愛いだなんて。
「はいはい。わかったわかった。嫌なら仕方ないね。無理強いはよくないもの。クーニャは私がいっぱいもふもふするね。」
「やったーっ!」
「クーニャばっかりずるーいっ!マーニャも!!マーニャももふもふしてなの!!」
「ボーニャもマユにもふもふして欲しいのっ!!」
クーニャにもふもふしてあげると言うと、マーニャとボーニャが自分たちももふもふして欲しいと声を上げた。マーニャもクーニャもボーニャももふもふ撫でられるの好きだからなぁ。撫で始めるとしばらく撫でてないと放してくれないし。
「はいはい。あとで沢山もふもふするからね。」
「わーいっ!」
「やったーなのっ!!」
「嬉しいのっ!」
「な、なんでっ!!なんで!!妾はダメなのじゃっ!!」
マーニャたちと約束していると、一部始終を見ていたイザナギ様が般若のように目を釣り上げて声を張り上げた。
「んー?なんでだろう?」
「マユだからいいのっ!!」
「マユじゃなきゃイヤなのっ!!」
「誰でもよくないのっ!!」
どうやらマーニャたちも誰に撫でられても嬉しいわけではないようだ。まあ、私だって確かに知らない人とか苦手な人に身体触られたり、ましてや撫でられたりしたら嫌だし。普通に考えればマーニャたちも一緒だよね。
「ううっ!!触りたいっ!!愛でたいっ!!もふもふしたいのじゃああああああああ!!!」
ついに、イザナギ様は発狂し始めてしまった。
そんなに、マーニャたちに触れたかったのか、イザナギ様。私たちを早く追い返そうとしていたから、私やマーニャたちのことが嫌なんだと思ってたんだけど、違ったのだろうか。
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