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五章
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しおりを挟む「大丈夫だよ。プーちゃん。私がなんとしてでも、ホンニャンとタイチャンの結婚は阻止するから。安心して生まれ変わってくるといいよ。でも、できるだけ速くホンニャンの元に戻ってきてね。ホンニャン、プーちゃんのこと恋しがってるから。」
プーちゃんの存在に慌てふためくイザナギ様が少しだけ可哀想に思えて、プーちゃんにそう告げる。もうプーちゃんも生まれ変わりの列に並んでしまっている状態だし。このまま列を抜けることはできないようだ。まあ、プーちゃんは始祖竜でもあるのだから、そんな理なんてねじ伏せてしまいそうだけど、それについてはあえて突っ込まないことにする。イザナギ様大変そうだし。胃とかやられちゃってそうだし。
「……我は早くホンニャンに会いたいのだ。今すぐに。ホンニャンを取っていこうとする男がいるのならばなおさらなのだ。」
今まで散々ホンニャンのことを放っておいて今更なにを言うのだろうか、と思ったがあえてその言葉は飲み込んだ。プーちゃんのことだから、ホンニャンはずっと赤ちゃんのまま成長しないとでも思っていたんじゃないかと思う。
「でも、生まれ変わりの列に並んでしまったならば、生まれ変わるまで元の世界には戻れないんだって。それがここの決まりなんだって。プーちゃん。大丈夫だよ。ホンニャンには説明しておくから。」
「……決まりなのか。絶対駄目なのか?」
プーちゃんはイザナギ様に視線を向けた。プーちゃんから睨まれたイザナギ様はビクッと身体を震わせた。ガタガタと震えて顔を真っ青にしたイザナギ様は助けを求めるように私を見つめてきた。
私はイザナギ様に強く頷いて見せる。自分で言えという意思を込めて。
「だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だだだだだだだ……だ、だめ、だめ、だめでござりまするぅぅぅぅぅぅ~~~~~っ!!!」
私の意思が通じたのか、イザナギ様はガタガタと震えながらもプーちゃんに向かって声を上げて駄目だと告げた。今にも倒れてしまいそうなほど真っ青になって震えているイザナギ様が哀れになってくる。
プーちゃんのことそんなに怖いのだろうか。
「……そうか、駄目、なのか。」
プーちゃんはイザナギ様の言葉を聞いて、シュンッと首を傾け下を向いた。
巨体なプーちゃんがシュンとして小さくなっている姿は何故かとても可愛いと思ってしまった。
「そ、そうなのでありまするっ!世の理には逆らうことができませんっ。申し訳ございませんっ。」
プーちゃんが落ち込みながらも駄目だということを理解したようで、イザナギ様は安心したように胸をなでおろし、勢いを取り戻した。
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