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五章

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「マユーっ。マユーっ。」

「マユどこーーーっ。」

「返事するのーっ。」

「マユさーん。マーニャたちが心配してますよぉ。隠れていないででてきたらいかがですかぁー?」

 ホンニャンたちがいる部屋に戻る道すがら、片っ端から部屋の障子を開け放ち中を確認しながら進んでいくあたしたち。もちろんマユの名前を呼びながら。

 でも、マユは返事をしてくれなかったの。一生懸命呼んだのに。マーニャたちのこと嫌いになっちゃったのかな。

 呼んでも呼んでも出てこないマユ。あたしはだんだんと気分が落ち込んできた。最初はマユを見つけたら迷子になったことを怒ってあげようと思ってたのに。爪を立てずにポカポカ叩こうと思ってたのに。

 マユが出てこない。返事もしてくれない。

「マユぅ~。マユ、どこなのぉ~。うぇぇぇえええええええええん。」

 不思議とマユの名前を呼んでいると怒りよりも悲しみの感情が溢れてきて、涙がでてくるの。寂しいの。マユ、いないんだもん。

「ふぇええ。マーニャ泣かないのぉ~。マユぅ~~~。マーニャ泣いてるのぉ~~~。うぇええええええん。」

「クーニャも泣いてるじゃないのぉ~。泣いちゃダメなのぉ~。マユ……。マユぅ~~~~~。うぇぇぇえええええええん。」

 あたしの涙に釣られてか、クーニャとボーニャも泣き始めてしまった。

 だって、マユがいないのだ。マユが、いないのだ。

「ああああ。マーニャたち泣かないでください。マユさんは、マーニャたちを驚かせようとしてちょっと隠れているだけですよ。ほら、すぐに出てきますよ。」

 マコトはそう言ってあたしたちの頭を優しく撫でてくれた。いつもはマコトが撫でてくれるとポカポカ嬉しい気持ちになるのに、今は悲しい気持ちで溢れてしまう。

「マユ……。マユ……。」

「ほら。もうすぐで、ホンニャンたちがいる部屋ですよ。マユさんはきっとそこにいますよ。さ、泣き止んでください。」

 マコトは優しくあたしたちを慰めてくれる。でも、あたしは知っているの。それは嘘だってこと。マコトだって、マユがどこにいるかわからないってこと知っているんだから。

 でも、もしかしたらマユのことだから気が変わってホンニャンたちと一緒にいるかもしれない。そう無理やり思うことにしてあたしたちはホンニャンたちがいる部屋の障子を開けた。

 でも、やっぱりそこにマユは、いなかった。

「やっぱりいないのぉ~~~~。マコトの嘘つきぃ~~~~っ。」

 あたしは、マコトの足をポカポカと叩いた。

「いたっ!マーニャ痛いっ!!痛いっ!!」

 マコトはあたしのパンチに悲鳴を上げる。うん。痛いでしょ。だって、爪を立ててるもん。マユ見つからないんだもん。

「や、やめてください。マーニャ。クーニャ。ボーニャ。マユさんのこと探す魔道具がありますからっ!ね?探しますからっ!」

「……魔道具?そんなのがあるの?早く言うの。マユ、早く探すの。」

 マコト、マユを探す魔道具なんて便利なものがあるなら隠さずに言えばいいのに。でも、マコトが探してくれるって。少し、安心。……かな?

 でも、マコトの魔道具って、確か……。

 

 

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