519 / 584
五章
5ー26
しおりを挟む
なんだかちょっと不安が残るような気がするけど、置いておこう。きっと、突っ込んで考えたら駄目なやつだと思うし。知らない方が幸せだってこともある。うん。
「なんだか、大人しくなりましたね。」
ホンニャンの手腕によって大人しくなった女王様とタイチャンを見て、のほほんとマコトさんが呟いた。
「・・・そうですね。」
かく言う私は、ちょっと疲れた声で返答する。
だって、疲れるんだもん。ドタバタうるさいのって苦手だし。どう静めていいかわからなくなるし。
「さてさて、落ち着いたようですし、みんなでお茶にしませんか?」
マコトさんはよっこらせと立ち上がるとそんな言葉を口にだしてから部屋を出ていった。
ってか、誰もマコトさんの質問に答えていないのにマコトさん部屋から出て行っちゃったし・・・。
もしかして、ここから逃げ出す口実だったのだろうか。
それならば・・・。
「マコトさんっ!お茶を出すの手伝いますっ!!」
私も後を追うだけである。
だって、ホンニャンたちが泣きながら抱き合っている姿あんま見ていたくないもん。なんだか、ホンニャンの笑みが真っ黒なような気がするし。
いや、気のせいなんだろうけど。
『お茶っ!?おやつっ!?』
『マコトーっ!!ミルクちょうだーーーーいっ!!』
『あたしは煮干しがいいのーーーーっ!』
マーニャたちもマコトさんの「お茶にしましょう」という言葉に反応して私より早く部屋を飛び出して行った。
「あっ。ちょっとマーニャ、クーニャ、ボーニャっ!!」
すばしっこいマーニャたちを追うように私も部屋を後にする。
マーニャたちは猫のくせに走るのが早い。私が走ったところでマーニャたちには追い付けそうにない。それに、マーニャたちの方が小さい分、小回りが利くし。
タタタタタッという軽い足音のマーニャたちの後をドタドタドタッという重い足音の私が続く。だが、距離はどんどん離れていくのは言うまでもない。
でも、そんなマーニャたちでもマコトさんには追い付けない。
マコトさんは滑るように廊下を進んでいるのだ。
どうしたらあんなに早く歩けるのだろうか。足音も立てずに。
必死にマコトさんとマーニャたちを追っていたのだが、距離がどんどん離れて行ってしまったためにマコトさんたちの姿を見失ってしまった。
「えっと・・・。マコトさぁーん。」
まさか家の中でマコトさんたちとはぐれるとは思わなかった。
私は立ち止まるとキョロキョロと辺りを伺った。
周りには障子に囲まれた部屋がいくつか見える。あとは廊下だけの簡単な作りだ。
だが、一本道というわけではなく、途中廊下が入り乱れていたりする。
っていうか、マコトさんの家どれだけ広いの・・・?
前に来た時は迷子になるほど広かったっけ?
どこまでも続く廊下を見つめながら私は首を傾げた。
「なんだか、大人しくなりましたね。」
ホンニャンの手腕によって大人しくなった女王様とタイチャンを見て、のほほんとマコトさんが呟いた。
「・・・そうですね。」
かく言う私は、ちょっと疲れた声で返答する。
だって、疲れるんだもん。ドタバタうるさいのって苦手だし。どう静めていいかわからなくなるし。
「さてさて、落ち着いたようですし、みんなでお茶にしませんか?」
マコトさんはよっこらせと立ち上がるとそんな言葉を口にだしてから部屋を出ていった。
ってか、誰もマコトさんの質問に答えていないのにマコトさん部屋から出て行っちゃったし・・・。
もしかして、ここから逃げ出す口実だったのだろうか。
それならば・・・。
「マコトさんっ!お茶を出すの手伝いますっ!!」
私も後を追うだけである。
だって、ホンニャンたちが泣きながら抱き合っている姿あんま見ていたくないもん。なんだか、ホンニャンの笑みが真っ黒なような気がするし。
いや、気のせいなんだろうけど。
『お茶っ!?おやつっ!?』
『マコトーっ!!ミルクちょうだーーーーいっ!!』
『あたしは煮干しがいいのーーーーっ!』
マーニャたちもマコトさんの「お茶にしましょう」という言葉に反応して私より早く部屋を飛び出して行った。
「あっ。ちょっとマーニャ、クーニャ、ボーニャっ!!」
すばしっこいマーニャたちを追うように私も部屋を後にする。
マーニャたちは猫のくせに走るのが早い。私が走ったところでマーニャたちには追い付けそうにない。それに、マーニャたちの方が小さい分、小回りが利くし。
タタタタタッという軽い足音のマーニャたちの後をドタドタドタッという重い足音の私が続く。だが、距離はどんどん離れていくのは言うまでもない。
でも、そんなマーニャたちでもマコトさんには追い付けない。
マコトさんは滑るように廊下を進んでいるのだ。
どうしたらあんなに早く歩けるのだろうか。足音も立てずに。
必死にマコトさんとマーニャたちを追っていたのだが、距離がどんどん離れて行ってしまったためにマコトさんたちの姿を見失ってしまった。
「えっと・・・。マコトさぁーん。」
まさか家の中でマコトさんたちとはぐれるとは思わなかった。
私は立ち止まるとキョロキョロと辺りを伺った。
周りには障子に囲まれた部屋がいくつか見える。あとは廊下だけの簡単な作りだ。
だが、一本道というわけではなく、途中廊下が入り乱れていたりする。
っていうか、マコトさんの家どれだけ広いの・・・?
前に来た時は迷子になるほど広かったっけ?
どこまでも続く廊下を見つめながら私は首を傾げた。
10
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

【完結】転生したらもふもふだった。クマ獣人の王子は前世の婚約者を見つけだし今度こそ幸せになりたい。
金峯蓮華
ファンタジー
デーニッツ王国の王太子リオネルは魅了の魔法にかけられ、婚約者カナリアを断罪し処刑した。
デーニッツ王国はジンメル王国に攻め込まれ滅ぼされ、リオネルも亡くなってしまう。
天に上る前に神様と出会い、魅了が解けたリオネルは神様のお情けで転生することになった。
そして転生した先はクマ獣人の国、アウラー王国の王子。どこから見ても立派なもふもふの黒いクマだった。
リオネルはリオンハルトとして仲間達と魔獣退治をしながら婚約者のカナリアを探す。
しかし、仲間のツェツィーの姉、アマーリアがカナリアかもしれないと気になっている。
さて、カナリアは見つかるのか?
アマーリアはカナリアなのか?
緩い世界の緩いお話です。
独自の異世界の話です。
初めて次世代ファンタジーカップにエントリーします。
応援してもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる