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五章
5ー23
しおりを挟む「魔王様は魔王様ですっ!代わりなどおりませんっ!!・・・って、え?キャッティーニャ王国の女王!?前魔王様の最初のお子様っ!?」
タイチャンは言い切ってから、今更ながらに女王様がいることに気づいたようだ。
本当にタイチャンってばホンニャンのことしか見ていないんだから。
女王様も同じ元魔王様の娘なのに。
「そうだけど。」
憮然とした表情で女王様はタイチャンと向き合う。
「こ、これは失礼いたしましたっ!貴女様を侮辱したいわけではございません。どうか、どうかお許しくださいませっ!!」
突然タイチャンがその場に跪いた。
そうして、女王様に向かって平謝りをしてる。
どうやら、タイチャンにとって元魔王の娘である女王様も敬うべき人物として認識されているようだ。
というか、元魔王様の血に逆らえないと言った方がいいのかもしれない。
「ふんっ。可愛い可愛いホンニャンの伴侶というのは貴方かしら?」
「へっ!?」
「えっ・・・。」
「なっ・・・。な、ななななななにを・・・っ。そ、そのように恐れ多いことっ・・・。」
突然の女王様の伴侶発言にタイチャンはだらだらと冷や汗を流し名から、その場に蹲る。
その顔は真っ青である。
どうやら、タイチャンはホンニャンの伴侶になる気はないらしい。むしろ恐れ多いと思っているようだ。
「違うのか?じゃあ、なぜホンニャンに近づいたっ!!」
カッと目を大きく見開いて女王様がタイチャンに問う。
いや、なぜホンニャンに近づいたって言われても、タイチャンは魔王様の側近だからなぁ。
まあ、ホンニャンの教育係も兼ねてるし、どうしてもホンニャンの側にいる必要があるよなぁ。女王様はホンニャンの教育係兼側近がタイチャンだって知らなかったんだっけ?
疑問に思い首を傾げる。
女王様に問い詰められているタイチャンは今にも意識を失ってしまうんじゃないかというほど顔を青くして、頭を地面に擦り付けている。
あまりの恐怖で震えているのか身体も小刻みに揺れ始めている。
なんだか、タイチャンが可哀想に思えてきた。
「あ、あの・・・。女王様・・・タイチャンは・・・。」
「マユさんには聞いておりません。私はそこの魔族に聞いているのです。このくらいで青くなって震えているような魔族に私の可愛いホンニャンは渡せませんっ!そのような魔族がいるところに、可愛いホンニャンを預けておくのはもう許せません。マユさんが魔王城にとどまっているからと今まで黙認してまいりましたが、可愛い可愛いホンニャンに懸想をするような輩がいるところにホンニャンは置いておけません。ホンニャンは私と一緒にキャッティーニャ王国の王宮で暮らすのですっ!!」
おおお・・・。話がもっとややこしくなってしまった。
ってか、女王様。人の話も聞いて欲しい。
違うんだよ。タイチャンはホンニャンの彼氏とかじゃなくて、教育係兼側近・・・。って、教育係兼側近が、女王様に意見できないのも問題か。
きっと女王様は側近ならなおのことしっかりしろと怒りそうだ。
これは、迂闊にしゃべることができないな。
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