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五章
5ー21
しおりを挟む「タイチャンとかいうやつ絶対に許さないわ。私の可愛いホンニャンを手籠めにするだなんて・・・。許さないわ。」
女王様はそう言ってメラメラとタイチャンに向かって闘志をみなぎらせた。
っていうか、女王様もタイチャンと会っているはずなんだけどなぁ。まあ、もう10年以上前の話だし忘れてしまったのかな。
「おねえさま。よくわからないけど、タイチャンはそんなに悪い人ではありませんわ?」
ホンニャンは理解していないのか、首を傾げている。
「そんなに?悪い人ではない?ってことはちょっとは悪い人だと思っているのかしら?ホンニャン?ちょっとでも悪い人だと思っているのならばそのような者がホンニャンの側にいるのは相応しくないわ。」
ホンニャンの何気ない言葉にタイチャンへの怒りが増加していく女王様。火に油とはまさにこのことかもしれない。
先ほどよりも、女王様を包む雰囲気が威圧感に満ちてきた。ホンニャンが産まれてからというもの多少は女王様の威圧感が減少していたのだが、ホンニャンが悪い男に捕まったと思い込んでいる女王様は今まで以上に威圧感が増している。
「お、おねえさま、ちょっと怖いです。」
流石のホンニャンも女王様の威圧感が怖くなってきてしまったのか、私の腕に掴まってフルフルと震えている。
・・・っていうか、私役得かもしんない。ホンニャンに縋りつかられるだなんて。
私の右腕に掴まってフルフルと震えているホンニャンが不謹慎ながらも可愛く思えた。
「ホンニャンの横に立つ者は完璧な者でなければ・・・。ホンニャンよ。その者を連れてくるのだ。私が直々に見定めてやる。」
女王様がそう言うが、見定めてやるっていうより切り捨ててやるって言っているように聞こえるのは私だけだろうか。
あまりの威圧感に思わずそう思ってしまう。
「えっと・・・。それは、また今度でお願いします。おねえさま。(タイチャンに黙って来ちゃったから今はタイチャンに会うのが怖いし。)」
震えるか細い声でホンニャンが告げると、女王様の目がカッと見開かれた。
「なんだ、私に会わせられないほど軟弱な奴なのか?」
「えっと・・・。軟弱じゃないと思います。お母様のそばにずっといた方ですし・・・。」
「はあ!?随分と年上なんじゃないのか!?ホンニャンよ、騙されているのではないか?」
「はい。私より200歳は年上ですわ。ですから安心して(魔王補佐を)任せられるのです。」
「なっ・・・。私より年上ではないかっ。そんなに年上の奴に大切なホンニャンは任せられない。」
「いえ、ですが彼がいることで今の私があるのです。」
「なんていうことなのですかっ!?その者に洗脳されているのですね!!可哀想なホンニャン。私がその者から介抱してあげますっ!!」
「お、おねえま・・・?」
ホンニャンがタイチャンのことを詳細に告げれば告げるほど、女王様の顔色が悪くなっていく。むしろ、怒りゲージが満タンになっていくというかなんというか。
今にも魔王城まで走っていってタイチャンを切り付けそうである。
っていうか、ホンニャン。言葉を端折ったら正確に伝わらないよ・・・。
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