505 / 584
五章
5ー12
しおりを挟む『マユ、プーちゃんは?』
『マリアなんだってー?』
『やっぱりミルクでしょー?』
マリアとの念話が終わると待ってましたとばかりにマーニャたちが話しかけてきた。
なんだかんだ言いながらもマーニャたちもプーちゃんのことを心配しているようだ。
「うーん。プーちゃん今はお家にいないんだって。元魔王様が亡くなってからどっかに行っちゃったらしいの。」
『えーーーーっ!?』
『うそーーーーっ!?だって、プーちゃんトマトどうするのー?』
『マユがミルクくれないからなのー。』
プーちゃんが家にいないということを告げると、マーニャたちが驚いた声を上げる。
確かにボーニャの言う通り、プーちゃんトマト大好きだからトマトを置いていくなんて思えないんだけど。っていうか、どこに行ってしまったのだろうか。
「でね、タイチャンには内緒でこっそり家に戻ってみようと思うんだけど・・・。マーニャたちはどうする?一緒に来る?」
『もちろんなのー!』
『行くのーーー!』
『ミルクちょうだーい!』
「わかった。じゃあ一緒に行こうね。って、クーニャはミルクのことばかりだね・・・。ミルク飲んだら行く?」
クーニャはすっかりミルクの虜のようで、隙があるとミルクを欲しがる。いや、隙が無くても欲しがるけど。
『ミルク飲んだら一緒に行くの!』
『ずるーい。マーニャもミルク欲しいのー!』
『ボーニャにもちょうだいなのー。』
可愛い三匹の猫はそれぞれミルクが好きなようだ。
クーニャがミルクを貰えると思ったら、マーニャたちもミルクが飲みたくなったらしい。
「はいはい。じゃあ、ミルクを用意するからね。」
そう言って私はマーニャたちのミルクを用意した。
実は、このミルク。少し温めた方が美味しいらしく、マーニャたちの食いつきが違う。
・・・クーニャは温めてあっても冷たくてもがぶ飲みするけど。
人肌程度に温めたミルクをマーニャ達の前に置くと、まるで三匹で競争するかのごとくミルクを飲み始めた。
もちろん一番最初に飲み終えたのはクーニャだ。
まだ飲み足りないようで比較的おっとりとミルクを飲んでいるボーニャのミルクの入った器に顔を突っ込む。
『いやぁー。クーニャ。このミルクはボーニャのなのー。』
『・・・。』
ボーニャはクーニャにミルクを取られまいと必死に抵抗するが、クーニャも負けてはいない。
ついにクーニャの食い意地が買って、ボーニャからミルクの器を奪ってしまった。
『・・・マユぅ。』
ボーニャはクーニャにミルクを取られたショックで目に涙を浮かべてこちらを見てきた。
「まったく。クーニャったら。ほらボーニャ追加のミルクを上げるから機嫌を直して。」
『やったなの!』
そう言って私は開いている器に再度ミルクを注いだ。そして、ボーニャの目の前に出すとボーニャは嬉しそうにミルクを飲み始めた。
『お腹いっぱいなの。』
ほぼ二匹分のミルクを飲んだクーニャはそう言ってその場に寝っ転がった。
マーニャもボーニャもミルクを飲んで満足したのか、優雅に毛づくろいをしている。
まったりとした至福の時間が流れる。
「じゃあ、久々に家に行ってみようか。」
しばらくまったりとした時間を過ごしてから私はマーニャたちに声をかけた。
10
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる