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五章
5ー12
しおりを挟む『マユ、プーちゃんは?』
『マリアなんだってー?』
『やっぱりミルクでしょー?』
マリアとの念話が終わると待ってましたとばかりにマーニャたちが話しかけてきた。
なんだかんだ言いながらもマーニャたちもプーちゃんのことを心配しているようだ。
「うーん。プーちゃん今はお家にいないんだって。元魔王様が亡くなってからどっかに行っちゃったらしいの。」
『えーーーーっ!?』
『うそーーーーっ!?だって、プーちゃんトマトどうするのー?』
『マユがミルクくれないからなのー。』
プーちゃんが家にいないということを告げると、マーニャたちが驚いた声を上げる。
確かにボーニャの言う通り、プーちゃんトマト大好きだからトマトを置いていくなんて思えないんだけど。っていうか、どこに行ってしまったのだろうか。
「でね、タイチャンには内緒でこっそり家に戻ってみようと思うんだけど・・・。マーニャたちはどうする?一緒に来る?」
『もちろんなのー!』
『行くのーーー!』
『ミルクちょうだーい!』
「わかった。じゃあ一緒に行こうね。って、クーニャはミルクのことばかりだね・・・。ミルク飲んだら行く?」
クーニャはすっかりミルクの虜のようで、隙があるとミルクを欲しがる。いや、隙が無くても欲しがるけど。
『ミルク飲んだら一緒に行くの!』
『ずるーい。マーニャもミルク欲しいのー!』
『ボーニャにもちょうだいなのー。』
可愛い三匹の猫はそれぞれミルクが好きなようだ。
クーニャがミルクを貰えると思ったら、マーニャたちもミルクが飲みたくなったらしい。
「はいはい。じゃあ、ミルクを用意するからね。」
そう言って私はマーニャたちのミルクを用意した。
実は、このミルク。少し温めた方が美味しいらしく、マーニャたちの食いつきが違う。
・・・クーニャは温めてあっても冷たくてもがぶ飲みするけど。
人肌程度に温めたミルクをマーニャ達の前に置くと、まるで三匹で競争するかのごとくミルクを飲み始めた。
もちろん一番最初に飲み終えたのはクーニャだ。
まだ飲み足りないようで比較的おっとりとミルクを飲んでいるボーニャのミルクの入った器に顔を突っ込む。
『いやぁー。クーニャ。このミルクはボーニャのなのー。』
『・・・。』
ボーニャはクーニャにミルクを取られまいと必死に抵抗するが、クーニャも負けてはいない。
ついにクーニャの食い意地が買って、ボーニャからミルクの器を奪ってしまった。
『・・・マユぅ。』
ボーニャはクーニャにミルクを取られたショックで目に涙を浮かべてこちらを見てきた。
「まったく。クーニャったら。ほらボーニャ追加のミルクを上げるから機嫌を直して。」
『やったなの!』
そう言って私は開いている器に再度ミルクを注いだ。そして、ボーニャの目の前に出すとボーニャは嬉しそうにミルクを飲み始めた。
『お腹いっぱいなの。』
ほぼ二匹分のミルクを飲んだクーニャはそう言ってその場に寝っ転がった。
マーニャもボーニャもミルクを飲んで満足したのか、優雅に毛づくろいをしている。
まったりとした至福の時間が流れる。
「じゃあ、久々に家に行ってみようか。」
しばらくまったりとした時間を過ごしてから私はマーニャたちに声をかけた。
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