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五章
5ー11
しおりを挟むタイチャン曰く、この魔王城は鉄壁にガードされているらしい。
そのため、外部から内部に対して念話を使用することはできないらしい。
ちなみに内部から外部へ念話を送ることもできない模様だ。
じゃあ、魔族たちはどうやって連絡を取り合っているかというと超音波を使用しているそうだ。なんてアナログな。
っていうか超音波だったら障害物に当たって跳ね返ってくるんじゃないだろうか。しかも距離だって長距離は無理だろう。
そう思うと念話ってすごいなと改めて思った。
でも、なんで私は外部に対して念話をすることができたのだろうか。謎は深まるばかりである。
「そんなの、マユが異世界からの迷い人だからです。異世界からの迷い人には妨害工作が効きませんからね。」
深まった謎はタイチャンが教えてくれた。
どうやら私が異世界からの迷い人だから私からは念話することができるらしい。
なにやらどうでもいい知識が増えたような気がした。
「タイチャンはプーちゃんに念話が通じない理由知ってる?」
「は?知る訳ないじゃないですか。っていうか通じないんですか?異世界からの迷い人なのに?なんで?どうして?私が知りたいくらいですよ。」
物知りなタイチャンもプーちゃんに念話が通じないことはわからないらしい。
って、さっきマリアに念話したときにプーちゃんどうしているか聞くはずだったのに聞いてなかったよ。
今更ながらに気づいてがっくりと項垂れる。
今からもう一度マリアに念話してもいいけど、マリアに「物忘れひどすぎ。」ってバカにされそうだし。
うぅ・・・。
時間を置いてもう一回マリアに念話してみよう。
でも、その前にもう一度プーちゃんに念話をしてみた。
だけれども、やっぱりプーちゃんからの応答はなかった。
本当にどうしたんだろう。プーちゃん。
☆☆☆
『あの・・・マリア、元気?』
次の日、もう一度マリアに念話してみた。
『どうしたの?マユ。昨日の念話でなにか聞き忘れたことでもあるのかしら?』
開口一番にマリアにこう言われた。
どうやら一日時間を置いても訊き忘れたことがあるということはマリアに察知されてしまったようだ。
でも、マリアにはバカにされなかった。よかった。
これがタイチャンだったらきっと全力でバカにしてくるのに。ああ、マリアってなんて優しいんだろう。
『あの・・・プーちゃん元気にしてる?』
なので思い切って昨日聞き忘れたプーちゃんのことを尋ねてみた。
『え?今頃?昨日の本題はそれね。よく忘れることができたわね。っていうか、今更プーちゃんのことが気になったの?プーちゃんだったら元魔王様が身罷られてからタマちゃんを連れて「探さないでください」って言いながらいなくなったわよ。』
うう・・・。
やっぱりマリアにもバカにされた・・・。
まあ、確かに今更かもしれないけど。だって、ホンニャンが可愛くてすっかり忘れていたんだもの。仕方がないじゃないか。
・・・って。
『え?プーちゃんいなくなっちゃったのっ!!?れ、連絡先は!?どこにいったの!?』
『だから、探さないでくださいって言いながらいなくなったって言ったじゃない。プーちゃんがどこに行ったのかは私にはわからないわよ。』
『そ、そんな・・・。』
『とりあえずマユの家に戻ってきてみたら?もしかしたら何かわかるかもしれないわよ?』
マリアはそう言って一方的に念話を止めた。
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