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四章
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しおりを挟む「えっと、何があってもすぐに死なないように魔王としたって言う事なんだけど、それならばどうして魔王様がもうすぐ死ぬだなんてプーちゃんが言うのかな?」
プーちゃんが昔の恋人が恋しくて、昔の恋人に似せて魔王様を造ったというのならば、その魔王様がもうすぐ死ぬだなんて言うプーちゃんの言葉が信じられない。
だって、タマちゃんはもうずっと長生きしているんだよ?
なら、プーちゃんが死なないようにと、長生きできるようにと造った魔王様はタマちゃんよりもずっと長生きをするのではないのだろうか。
そう、思った。
『マユ、もう忘れておるのかのぉ?妾も最初にマユと会った時は卵の姿であった。つまり、妾は死んだのじゃ。他の大精霊たちも一度死んでおる。まあ、一度どころか数百回は死んでおるのじゃ。その都度、卵に戻り生き返る・・・というより生まれ変わるのじゃ。過去の記憶を持ってのぉ。』
「あ、そう言えばそうだった。」
そうだった。
タマちゃんも最初に出会った頃は卵の姿だった。
そっか。
タマちゃんもずっと長生きしているわけではないのか。
『永遠の命などないのじゃ。そして妾も過去の記憶は持っておるが、過去の妾とは性格は違っておるのじゃ。全く同じ者にはなれぬ。それがこの世界の掟じゃ。』
「でも、記憶が残るのであれば・・・。」
『マオマオは記憶が残らぬ。妾が記憶が残っておるのは、世界を造る側だからなのじゃ。しかし、マオマオは違うのじゃ。魔王だからのぉ。それでもかなり長生きしたのじゃ。下手をすると妾よりも長生きしたのかもしれぬ。じゃが、もう限界なのじゃろう。』
「そんな・・・。」
タマちゃんと違って魔王様は死んだら生まれ変わったとしても記憶を無くしてしまうのか。
それはとても悲しいことのように思える。
プーちゃんは魔王様のことをずっと覚えているのに、魔王様は生まれ変わったら記憶を無くしてしまうだなんて。
でも、それが世の理なのだろうか。
仕方のないことなのだろうか。
『それに、妾たちと違う存在ゆえ、生まれ変わる時期はいつになるのかわからぬのじゃ。死した次の日かそれとも一年後か、はたまた100年後になるか。それは誰にもわからぬのじゃ。』
「そ、そんな・・・。じゃあ、今、魔王様が亡くなったら次にいつ会えるかわからないということ?」
『そうじゃ。』
「なんてこと・・・。」
『ゆえにプーちゃんはマオマオに会いたくなかったのかもしれぬのぉ。じゃが、会わぬまま死すのはもっとも辛いことじゃ。ゆえに最期に会えてよかったのだと思うのじゃ。』
「そうだね。会えないままだったら・・・もっと辛いよね。」
まさか、プーちゃんが純愛をしていただなんて。
信じられなかった。
今までなんも言ってなかったし。
彼女がいるともなんも聞いてなかったし。
ん・・・?
彼女・・・?
「あ、あれ?でも、女王様は魔王様の子供なんだよね?正真正銘の血の繋がった。」
プーちゃんが魔王様のことを好きで、魔王様もプーちゃんのことが好きなんだったら、女王様の存在はどういうことなのだろうか。
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