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四章

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『マオマオ・・・。』

「始祖竜様・・・。」

魔王様の部屋から飛び出てきた美女はプーちゃんと抱き合っている。

ってか、プーちゃん。

今、この美女のことを「マオマオ」って呼んだ?

え?もしかして、マジでこの美女が魔王様?

今までの老婆姿の魔王様はいったいどこに行った?

私の頭の中は疑問符だらけである。

女王様はこの事態をどう見ているのだろうか。

そう思って、女王様に視線を向けると、口をポカンと開けてプーちゃんと魔王様を見ていた。

半ば放心状態である。

だよね。

実のお母さんが実のお父さんとは違う人に抱き着いているんだもんね。

そりゃあ放心するのも仕方ないか。

『マオマオ・・・。以前のように、我のことを名前で呼んではくれぬのか?』

プーちゃんは魔王様に向かって切な気に問いかけている。

って、プーちゃん名前があったの?

あれ?プーちゃんってプーちゃんって名前じゃなかったの?

他に名前があったの?

「カナタ様・・・。」

魔王様がそう呟いて顔を真っ赤にして俯く。

プーちゃんは名前を呼ばれたことが嬉しいのか、こちらがわかるくらいに顔がにやけてしまっている。

っていうか、このラブシーンいつまで続くんだろう。

『はあ・・・。まったく、プーちゃんとマオマオはいつもこれだからのぉ。見ていると目の毒なのじゃ。さあ、タイチャンとやら。妾たちを応接室にでも案内するのじゃ。こうなると長いからのぉ。妾たちはゆっくりとお茶でも飲むのじゃ。』

「え・・・。あ、はい。」

『ほれ、マユもじゃ。パールバティーも来るのじゃ。』

「は、はい。」

タイチャンも魔王様のこんな姿は初めて見たのか、現在の状況が処理できていないようで呆然としている。

そのため、タマちゃんに促されるがまま、私たちを魔王城の一室に案内し、紅茶を用意していた。

女王様もプーちゃんを恋い慕う乙女のような魔王様を初めて見るようで、心ここにあらずと言った様子だ。

こちらもタマちゃんに促されるがまま、魔王城の応接室のソファーに座ってボーッとしている。

タマちゃんだけが、魔王様とプーちゃんの関係に動じずにいた。

「タマちゃん。タマちゃんはプーちゃんと魔王様のことを知っていたの?」

『うむ。マオマオはプーちゃんが造り上げた存在なのじゃ。プーちゃんがまだ始祖竜になる前に恋人だった者に姿形をに通わせて造ったのじゃ。』

「へ?プーちゃんの恋人?え?本人は?」

プーちゃんの恋人に姿形を似せて造ったって、その恋人本人はどこに行ったのだろうか。

ってか、プーちゃんって最初から始祖竜だったんじゃないの?

その前段階があったの。

そこから驚きを隠せないんだけど。

『死んだのじゃ。あっけなくな。だから、プーちゃんはマオマオを造ったのじゃ。何があってもすぐに死ぬことがない魔王としてな。』

タマちゃんはそう言って昔を懐かしむかのように目を細めた。

 

 

 

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