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四章
4ー73
しおりを挟む「女王様・・・。魔王様は女王様がなぜ来てくれないのかと悲しんでおられましたよ。」
実際には何故来ないのかと拗ねてたけど。
ここは悲しんでいたと伝えることにする。
結局拗ねていたのは女王様が来なかったことが悲しかったということなのだから。
「魔王は苦手だ。聞いたんだろう?魔王と私の関係を。」
まあ、確かにね。
私も魔王様のあの凍てつくような威圧感は苦手だ。
「はい。魔王様が教えてくださいました。女王様は魔王様の娘だとか。」
「そうだ。私は、魔王の娘なんだ。」
そう言って女王様は静かに目を伏せた。
こうして、大人しくしてるとこの女王様ってすっごく美人で魅力的だな。
普段は威圧感がすごくて近寄りがたいけど。
でも、このギャップを見たらコロッといってしまう人が何人もいそうな気はするんだけど。
「なのに、私は弱い。」
「へ?ぜんぜん弱いとは思いませんけど。っていうか女王様強すぎです。プーちゃんにも勝てそうじゃないですか。」
「いや。私は弱い。プーちゃんにだって、卑怯な真似をしなければ勝つことができない。」
「いやいやいやいや。卑怯な真似しても普通は勝てませんから。」
「ハルジオンなら卑怯な真似をしなくても勝てる。」
「ハルジオン・・・もとい村長さんは元勇者だったんでしょう?勇者だったらプーちゃんに勝てないと。」
「でも!私は勇者ではないが、魔王の娘なのだ。魔王の娘がプーちゃんに勝てないなど・・・。」
女王様は自分が弱いと思い込んでいて魔王様に会わせる顔がないようだ。
ただ、私から言わせてもらうと女王様は十分強い。
プーちゃんの強さが桁外れなのだ。
しかも、最近は私の作ったトマトでかなりドーピングしてるし。
今ならもしかしたら魔王様も村長さんも勝てない。と、思う。
ちなみに勇者ハルジオンというのは若かりしころの村長さんのことだ。
今は見る影もないけど。
「んー。じゃあ、プーちゃんと魔王様が戦って魔王様がプーちゃんに負ければいい?そうすれば魔王様もプーちゃんに勝てないんだから、女王様が弱いなんてことはなくなるよね?」
なにやら女王様の強さの基準が魔王様となぜかプーちゃんなので、プーちゃんと魔王様が勝負をしてみればいいのではないかと純粋に思った。
そうすれば、女王様も如何にプーちゃんが強いのかってことがわかるし。
魔王様も勝てないプーちゃんに勝てないのは普通ってことになるし。たぶん。
って、魔王様があっさりプーちゃんに買っちゃったら取り返しがつかなくなってしまうかもしれないけど。そこはプーちゃんにドーピングして頑張ってもらうことにしよう。
「それはそうだが・・・。」
女王様は私の勢いに押されたのか小さく頷いた。
うん。もう、これは押し切ろう。
ぐぐぐっっと押し切ろう。
「大丈夫だって。プーちゃんとてつもなく強いから。だから女王様は弱くなんてない。もっと胸をはっていいと思います。」
「・・・マユがそこまで言うなら、そうなのかもしれない。」
よし!
これでプーちゃんと魔王様の勝負を見るってことで女王様を魔王様に会わせることができそうだ。
それに、魔王様にプーちゃんが勝てば女王様のコンプレックスも解消しそうだし、まさに一石二鳥だよね。
私、すっごいじゃん。
頭いいじゃん。
一石二鳥を狙えるなんて。
そう思った私は、大事なことを忘れていた。
魔王城に行ったとき、プーちゃんが魔王様に会いたくないと言って出てこなかったことを。
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