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四章

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魔王様はかなり怒っているようで魔王様の周りを凍てつくような空気が取り囲んでいる。

でも、タマちゃんは魔王様の怒りの原因が人間と魔族が手を取り合うことにあるのではないという。

では、なぜ魔王様はこんなに怒り狂っているのか。

その理由はタマちゃんが教えてくれた。

『マオマオは拗ねておるのじゃ。』

「はい?」

タマちゃんが教えてくれた理由が意外すぎて思わず聞き返してしまった。

魔王様が拗ねているってどういうこと?

誰に拗ねているのか・・・って、まさか女王様に拗ねているのだろうか。

っていうか、拗ねているだけで周りを瞬殺しそうなほどの威圧感を出せるってすごいと思うんだけど。ってか、はた迷惑。

「まさか、女王様に拗ねているの?」

『そうなのじゃ。娘が会いに来てくれないから拗ねておるのじゃ。しかも、他の国にはパールバティーが赴くのじゃろう?それなのにマオマオのところにはパールバティーが来ないでマユが来たから拗ねておるのじゃ。』

「・・・・・・・・・。」

まさか、自分の娘が直接来なかったことに拗ねているとは・・・。

女王様は魔王様には会いたくないような感じだったしなぁ。

『マオマオはパールバティーに会いたいのじゃよ。』

「でも、女王様は魔王様に会いたくない、と?」

『そうじゃ。』

私の推測に、タマちゃんはしっかりと頷いた。

・・・なんだろう。この展開。

まさかの家族間のしがらみが魔王様の怒りの原因だっただなんて。

これさ、完璧に私たちってとばっちり受けてるよね?

『マオマオはパールバティーのことを愛でているのだがなぁ・・・。いかせんパールバティーがマオマオを嫌悪しておるのじゃ。』

女王様は自分のお母さんが嫌いだったのか。

でも、なんで女王様は自分のお母さんのことが嫌いなのだろうか。

まさか、魔王だからとかいうことはないよね?

魔族と人間が敵対関係にあったから、とか?

「・・・元々、魔族と人間は敵対関係とかだったの?」

タマちゃんは市松人形のように見えても、もう何千年もの時を生きているのだ。

物知りなタマちゃんだったら、きっと過去の出来ごとも知っているだろうと思って確認してみた。

『んにゃ?なぜそのような話になるのじゃ?』

「いや、だって。元々魔族と人間が敵対関係だったから、女王様が魔王様のことを嫌っているのかなって思って。」

しかし、タマちゃんによると魔族と人間が敵対関係だったということはないらしい。

『ふむ。まあ、魔族にとって人間は脅威にもならぬからのぉ。それほど仲は悪くはなかったと記憶しておるのじゃ。』

「そうなんだ。じゃあ、なんでだろう。女王様が魔王様を嫌っているのって。理由を知ってる?」

女王様が魔王様のことを嫌悪していると言ったのはタマちゃんなのだ。

きっと、女王様が魔王様のことを嫌悪している理由もタマちゃんだったら知っているのではないかと思って問うてみた。

タマちゃん、魔王様と仲がいいみたいだし、知っているような気がしたのだ。

しかしながら現実は・・・。

『知らぬのじゃ。興味はないゆえにマオマオに訊ねたことはないのじゃ。』

タマちゃんは女王様が魔王様を嫌悪する理由を知らなかった。

いや、普通はさ。

魔王様と仲がいいのであれば、ちょっと魔王様と女王様の仲を取り持つような行動ってとらないのかな?

え?

余計なお節介だって?

でも、さあ。ほら、やっぱり仲が良いことに越したことはないしさ。

しょうがない。

ちょっと、怖いけど、ここは私が女王様と魔王様の仲を取り持とうかな。うん。

・・・かなり、怖いけど。

 

 

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