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四章

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「ライチャン・・・。私は残念ですよ。あなたがそこまでニブチンだったなんて。」

猫耳と尻尾が生えていることに今まで気が付かなかったライチャンに向かって、タイチャンが大きなため息をついて、呆れるようにそういった。

ってか、その見た目で「ニブチン」って似合わないっ。

似合わな過ぎて笑いがこみ上げてきそうになって思わずぎゅっと口元を両手で抑える。

「はははっ。面白いなライチャン。まさか気が付かなかったとはな。はははははっ。あーはっはっはっはっ・・・ぐっ・・・ぐはっ・・・。ごほっ・・・。」

だが、お婆ちゃんは笑いを隠せなかったようで・・・むしろ隠す気もないようで豪快に笑っている。

って、あっ!!?

お婆ちゃんは豪快に笑いすぎたようでむせた・・・そして・・・。

『歯っ!!?歯が取れたの!!?』

『痛くないの!?』

『大丈夫なの!?』

「ま、まおーさまっ!!?」

「魔王様っ!!?」

ゴボッっという音とともに魔王様の歯が・・・もとい入れ歯がポトリと地面に落ちた。

っていうか、アレ?

今、タイチャンがお婆ちゃんのこと「魔王様」って言わなかった・・・?

え?気のせい??

え?ええ?

いや、でも魔王がよぼよぼのお年寄りだったなんて聞いたことがないんだけど。

きっと、私の空耳だよね。

聞き間違えただけだよね。うん。

「ほご・・・もごもご・・・。ほもももも・・・。」

入れ歯が取れてしまったからか、お婆ちゃんが何を言っているのかわからなくなってしまった。

上手く発音ができないようだ。

「魔王様っ!はい!早くこれを口に入れてくださいっ!!」

タイチャンがお婆ちゃんの口から零れ落ちた入れ歯を拾い、お婆ちゃんに差し出す。

えっ!?

てか、それ洗わないの!?

口に入れるんだよ!?

地面に落としたんだよ!?

「ちょ・・・ちょっと!洗浄しなきゃ!!洗浄!!」

「小娘・・・何を言いだすかと思えば戦場だとっ!!?小娘、我々と戦争をお越しにきたのかっ!?」

「ちがっ!洗浄!!洗う!!入れ歯洗う!!」

こわっ!タイチャンの声が怖いっ!!

ちなみに視線も怖いっ!

視線だけで殺されそうだ。

お陰で言葉が上手くでてこない。

カタコトの言葉になってしまって上手く伝わるだろうか。

「・・・争うだと!!」

「な、なぜ!?争う違う!洗う!!あ・ら・う!!汚いから洗うの!!」

「汚いっ!?小娘!魔王様の口の中が汚いとでも言うのか!?確かに少々匂うが汚くはないっ!その発言取り消せっ!!」

タイチャンはそう言ってさらに激高してしまった。

違うのに・・・。

入れ歯地面に落ちたから洗った方がいいよって言いたいのに何故伝わらないのだろうか。

ってか、匂うんだ。

お婆ちゃん、口臭キツイんだ。そっかそっか。

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