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四章

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あ、あれ?

猫様の下僕というスキルは珍しいスキルなのだろうか。

「えっと、珍しいのかな。私にもよくわからなくって・・・。でも、心を読むスキルを持っていれば、マーニャたちとも会話をすることができると思うよ?実際にマーニャたちは人間が言っている言葉は理解してるし・・・。」

眉間に皺を寄せている男の子に向かって優しく告げる。

うん。

ちょっと怖い感じの男の子だけど、相手は子供だしね。

さっきの数百年生きているっていうのも子供の戯言だろう。

人間が数百年も生きることなんてできないし、数百年経っても子供の姿のままだったらその子は人間ではないことになるし。

「ぐっ・・・心を読むのは、僕にはできない。」

男の子はそう言ってその場にしゃがみこんでしまった。

その声はどこか震えていて泣いているのではないかと思うほどだ。

「あ・・・と、そんなに落ち込まないで。」

「魔族なのに心を読めぬとはのぉ。致命的じゃ。落ちこぼれじゃな。」

「ぐっ!ま、まおーさま。」

男の子を慰めようとしたのに、お婆ちゃんが男の子にとどめを刺した。

おかげで、男の子の大きな丸い目からはドバドバと涙が溢れだした。

「ちょ・・・ちょっと泣かないで。お、お婆ちゃん。あんまり子供を泣かしてはダメですよ。」

「なぜだ?」

「え、えっと。子供は繊細なんです。心がまだ柔らかいんです。小さいうちに傷を負った子は自分を卑下するよになってしまいます。」

「ふぅ~ん。」

「それに、その子が頑張っても出来ないことを咎めるのは良くありません。頑張っても出来ないことは、その子にとって才能がないことなんです。才能がないものを無理やり伸ばすよりも、才能があるものを伸ばしてあげる方がその子のためになります!」

「ぐっ・・・。が、頑張ってもダメなら・・・さ、才能がない・・・。」

男の子は震える声でそう言って、その場に倒れこんだ。

「あ・・・っ。」

「どうやらお主がとどめを刺したようじゃな。」

お婆ちゃんの声が辺りに響き渡る。

うぅ。男の子を慰めようとしたのに、逆に落ち込ませてしまった・・・。

『マユが泣かせたのー。』

『ごめんなさいするのー。』

『泣かせたなら謝らなきゃー。』

マーニャ達が口々にそう言ってくる。

うん。

そうだよね。

私が悪いんだもんね。

謝らなきゃいけないのはわかってはいるんだけれども、だけど謝ったくらいではこの子の心についた傷は癒やすことはできないだろう。

なにか・・・なにか男の子の心の傷を癒やす方法はないのだろうか。

「うぅ・・・うぅ・・・。」

男の子は声を殺して泣いている。

私も泣きたい気分になってくる。

ちらりとお婆ちゃんを見ると、お婆ちゃんは何も言わずにその場でにこにこと微笑んでいた。

この場に似つかわしくない笑みに思わず顔が引きつってしまう。

なにか・・・なにか男の子を泣き止ませることができるものがないだろうか。

ここで、今ここで謝らないと今度いつ男の子に会えるかわからないし。

でも、私が今持っているものを渡しても・・・男の子が喜びそうなものは・・・。

ん?

んん!?

あったーーーーーーっ!!!

目の前で泣いている男の子の喜びそうなもの持ってるじゃん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

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