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四章

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☆☆☆

「魔王様っ!魔王様っ!!」

魔王城の一室で魔王を呼ぶ配下の魔族の声が響き渡る。

「魔王様っ!いらしたら返事をしてくださいっ!」

魔王を探している三人の魔族は魔王の直属の部下である。

人間と強い力を持った精霊がこの魔王城に近づいてきていることを感知したために、魔王を探しているのだ。

「魔王様っ!人間が・・・。人間が・・・。」

「そうです!魔王様・・・。人間が近づいてきているんです!」

「お隠れになっている場合ではございません!魔王様!」

三人の魔族は魔王城の中を上へ下へと駆けずり回って魔王を探している。

「いない・・・。魔王様はどちらに・・・。」

「まさか、お一人で人間の元へと向かったのではあるまいな?」

「そんな馬鹿な・・・。いや、あの魔王様ならあり得るかもしれない。」

魔王城の中は隅々までくまなく探し回った。

それなのにも魔王の姿は見つからない。

これは、人間に興味を示した魔王が人間の元へと向かった可能性がある。

三人の魔族は互いに視線を合わせて大きなため息をついた。

「・・・最悪ですね。」

「ああ。」

「オレ、もう知らん。」

「あ!ずるいです!僕ももう魔王なんて知りません。」

「二人とも!!魔王様が帰ってきたときにチクってやりますからね!!」

魔王が見つからないことに嫌気が差した二人の魔族はプイッと顔をそむけた。



☆☆☆



「魔王はこんな山奥にいるの?」

『そうじゃ。あやつらは自然が大好きじゃからの。』

『あ!ちょうちょなの~!!』

『あれ、なんだろう!木の葉のしたもぞもぞ動いてるの~!!』

『ミルクは!?ミルクの湧き出る泉はないのぉ~!?』

キャティーニャ村を出て一時間。

私たちは魔王城があるという森にたどり着いた。

本来はここに来るには馬で2週間以上はかかる場所なのだが、私たちはずるをした。

もとい、プーちゃんの転移の魔法でここまで一瞬で飛んできたのだ。

で、そのプーちゃんはというと魔王が怖いらしく震えながらタマちゃんの空間に隠れてしまった。

プーちゃん、最近なんだかちょっと情けない感が漂うのはなぜだろうか。

始祖竜だというのに。

「はいはい。タマちゃんの話だともうちょっとだってからね。ここから先は気をつけて進もうね。」

もしかすると、私たちに気づいた魔族がやってくるかもしれない。

気を抜いていたら攻撃してくるかもしれないので、周囲の警戒は怠らないようにしなければ。

特にマーニャたちは目を離すとすぐに脇道にそれるから注意しておかなくては。

『マユ!あそこになんかいるのー。』

『ほんとなのー。』

『なんなのー?』

しばらく山道を歩いていると、マーニャたちが一斉に声を上げて、同じ方向を凝視している。

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