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四章
4ー43
しおりを挟む女王様は言う。
エルフや獣人、ドワーフ、魔族は脅威だと。
でも、それぞれの種族は知性も理性も兼ねそろえているはずだ。
私に協力してくれる精霊たちがそれを表している。
種族は違っても協力することは可能だと。
種族は違っても友情をはぐくむことはできると。
ただ、そこにどちらか一方に畏怖の気持ちがあると途端に難しいだろうと。
「畏怖の気持ちではなく敬意の気持ちを抱ければ異なりませんか?自分にない能力を羨むのではなく、自分にない能力に敬意を払う。それに、もし相手に優れた能力があるとしても、代わりにこちらにも相手にない優れた能力があるはずです。その優れた能力を互いに提供することで女神(?)様が不在の間でも、問題なく暮らしていけるかと思います。」
女王様の威圧がすごい。
自分がどんなに現実味のない理想論を言っているかはわかっている。
それでも、もしそれが現実されれば、世界は女神(?)様がいなくても生活していくことは可能だろう。
天災だって、予備知識があれば逃れることができるだろうし。
逃れられないものは、知恵を絞ればもしかしたらなんとかなるかもしれない。
楽観主義と言われても仕方がないけれども。
「マユの言うことはわかった。だが、それは国の根幹を揺るがす。我が国がそれに答えたとしても他の国がそうとは限らぬ。皆の意識を変えていかなければならないのだ。それこそ長い年月がかかるだろう。」
よかった。
女王様は意外と話しがわかる人のようだ。
もしかしたら、女神(?)様に頼ってばかりのことを以前から気にしていたのかもしれない。
だから、破天荒を装って私に頼んできたのかもしれない。
女神(?)様が不在になっても生活していく術をさがしていたのかもしれない。
「女王様。実はここにとある異世界からの迷い人の血があります。」
そう言って私が鞄から取り出したのは、500mlほどのペットボトルサイズの容器だった。
これは、女神(?)様が眠りにつく寸前に女神(?)様がプーちゃんに託していたものだ。
もしかしたら必要になるかもしれないから渡しておくということだった。
また、女神(?)様の力を借りるようで申し訳ないのだが・・・。
「まさか、人を操るという血か?」
女王様は血を見ただけでその血が誰の血かというのがわかったようだ。
「はい。これを薄めて皆に飲ませればいいのです。薄めれば薄めるだけ効果は薄くなります。それでも、皆にどの種族とも手を取り合って生活するようにという意識を刷り込ませることができれば・・・。」
「不要だ。そのようなもの。それを使用すれば結局は創成の女神に手を借りたことになる。マユ、お前は創成の女神にばかり頼るなというのだろう?ならば、これを使う訳にはいかぬ。」
そう言って、女王様は私が差し出した血の入った入れ物を拒否した。
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