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四章

4ー17

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『なんじゃ、マユ。うるさいのぉ。大きな声など出しおって。なんなのじゃ?』

『鼓膜が破れるかと思ったのだ。』

プーちゃんもタマちゃんも五月蝿そうに耳をふさいだ。

エー様も顔をしかめているようにみえる。

ガー様は、先程のプーちゃんの圧力によりテーブルに突っ伏したままだ。

「エー様!!」

『『エー様?』』

エー様の名を呼ぶと皆がそれは誰だというように首を傾げた。

まあ、みんなエーちゃんって呼んでいるしね。

でも、エー様はエルフの王様なのだから、気軽にちゃん付けで呼べない。

だから、エー様なのだ。

「エーちゃんのことよ。エルフの王様なんだから、ちゃんじゃなくて様がいいかと思ったの。」 

「え、えええええっとぉ・・・わ、わわわわわわわ私のことはエーちゃんでいいですよ?」

エー様は遠慮をしているのか、そう言って首を横に勢いよく振っている。

そんなに高速で首を振って眩暈を感じないのだろうか。

「でも、私の精神衛生的によくないからエー様って呼ばせてください。」

にっこり笑ってエー様に告げると、エー様は小さく震えながらもコクりと頷いた。

「でも、マユってば精霊王のことも始祖竜のこともタマちゃんとかプーちゃんとか威厳もへったくれもない呼び方してるけど・・・。それはいいの?」

「ふぐっ・・・。」

マリアから意外な突っ込みが入った。

そうだった。

プーちゃんもタマちゃんもエー様より位は上なんだよね。

エーちゃんのことをエー様と呼ぶならば、タマちゃんのことをタマ様、プーちゃんのことをプー様と呼ばなければならないのか?

・・・。

・・・・・・。

ダメだしっくりこない。

やっぱりプーちゃんはプーちゃんでタマちゃんはタマちゃんなんだよなぁ。

『我のことはプー様と呼べ。』

『妾のことはタマ様と呼ぶのじゃ。』

ニヤニヤと笑いながら言ってくるタマちゃんとプーちゃん。

そのニヤニヤ笑いがなんだかムカついてきた。

「し、ししししし始祖竜様とせ、せせせせせせ精霊王様を差し置いて様付けで呼ばれるのは、わ、わわわわわわわ私の精神衛生的によ、よくありませんっっっっ。」

マリアの発言を受けてエー様がみょんみょんと首を横に振ってきた。

うぅ。

じゃあタマ様にプー様って呼ばなきゃいけないの?

「プー様。タマ様。」

練習がてら二人の名前を呼んでみる。

ダメだ。

やっぱりしっくりこない。

タマちゃんもプーちゃんも苦虫を噛み締めたような顔をしているし。

『・・・タマちゃんで良いのじゃ。』

『プー様は嫌なのだ。』

どうやら二人も微妙だったようだ。様付けを拒絶してきた。

でも、そうなるとエルフの王様であるエー様をエーちゃんと呼ばなければいけないのかな。

「あ、あのエー様。」

そう呼ぶと、エー様がテーブルの下にもぐりこんでしまった。

やはりよろしくないらしい。

「・・・エーちゃん。」

そう呼べば、そろりとテーブルから姿を現すエー様。

うん。

もうこの際エーちゃんでいいよね。もう。

疲れたもん。

「エーちゃん。その問題のエルフはプーちゃんとタマちゃんが合同で作成したエルフなんだから、エーちゃんが謝ることはないんだよ。プーちゃんとタマちゃんのせいなんだから。」

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