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四章
4ー7
しおりを挟むおじさんに言われるがままカートの下を覗くとそこには小柄な人がカートの下にしゃがみこんでいた。
「えっと、こんにちは。」
私は椅子から降りてその子と同じようにしゃがみこんで挨拶をした。
「・・・こ、こここここここんにちは。・・・お料理・・・お持ち・・・しましたぁ。あ、あの・・・ご・・・ごゆっくり・・・お召し上がりくださいぃぃぃぃ・・・。」
緑色のふわっふわした髪の毛が小さな可愛らしい声に合わせて揺れる。
声からすると女の子だろうか。
それとも、声変わりのしていない男の子だろうか。
線の細さからまだ成人していない子供ではないかと思う。
俯いてしまっているので顔がわからず女の子かそれとも男の子なのかも判別が難しい。
体つきもしゃがみこんでしまっているのでいまいちよくわからない。
髪型はショートヘアーだし。
この世界にもショートヘアーの女の子はいるし性別の決定的な証拠にはならないだろう。
「料理を運んできてくれてありがとう。美味しそうだね。いただきます。」
私はそう言ってカートの上から料理をテーブルに移した。
向かい合わせに座っているマリアも一緒に料理をテーブルに移している。
料理を持ってきた子は料理が全てカートの上からなくなったことを確認してから、プルプルと震えながらしゃがみこんだままカートを押してまた店の奥に引っ込んでいってしまった。
「可愛い子だったね。ご両親のお手伝いをしているのかな。」
「そうね。震えていたわね。人見知りなのかしら・・・?」
マリアとさっきの子について話していると隣のテーブルに座っていたおじさんがまた話しかけてきた。
「ははっ。可愛いだろう。でもああ見えて100歳すぎてるんだぜ。」
「えっ!!」
「まぁ!!」
おじさんの言葉は衝撃的でした。
まさか、あの可愛らしい子が100歳を過ぎているだなんて誰が思うでしょうか。
私は思えません。
ユキさんよりも若作りです。
「耳がチラッと見えなかったか?」
「耳・・・ですか?そう言えば・・・普通の人より尖っていたような気が・・・。」
ふわっふわな髪の毛からひょっこり出ていた耳は普通の人間より若干尖っていたような気がする。
あんまり耳を凝視していなかったので確かではないが。
「あ、もしかしてエルフ族?」
「へ?エルフって本当にいるの?」
「ああ、そうだ。珍しいだろう。ここで店を開いているんだ。いつもは姿を消しているんだが、嬢ちゃんたちは気に入られたのかな?最初から姿を見せるだなんて珍しいこともあるな。」
おじさんは料理を運んできた子がエルフだと断言いたしました。
エルフって言ったら可愛くて綺麗な子が多くて魔力が沢山あって長寿で・・・。
本当に存在するのならば会ってみたい種族でした。
獣人がいたのでもしかしたらエルフもいるかもしれないとは思っていたけれども、こうやって実際に会ってみると感激する。
「そうなんですね。もっとお話ししたかったですね。」
それに部屋を借りれないかも確認しなければいけないし。
ご飯を食べ終わったらもう一度接触してみようかな。
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