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三章

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「あら、バレちゃったわ。」

マーニャがミルトレアちゃんのいる場所をじぃっと見つめていると、何もない空間にすぅっと一人の女の子の姿が浮かび上がった。

言わずもがなミルとレアちゃんである。

ミルトレアちゃんは宙をふわふわと浮いて微笑んでいる。

やはり、彼女は人間ではないのだろうか。

となると、やはり皇太子殿下を操っていたのはミルトレアちゃんなのだろうか。

「ミルトレアちゃん、あなた皇太子殿下の娘さんではないの?」

まずはミルトレアちゃんに確認することにした。

果たしてミルトレアちゃんは答えてくれるのだろうか。

すると、ミルトレアちゃんがすぅーっと私の目の前に飛んできた。

「違うって言ったらどうするの?私を捕まえるのかしら?」

「話を聞きたいだけ。その内容によってはミルトレアちゃんを捕まえなきゃいけないかもしれないけど・・・。」

「そう。私の話を聞いてくれるのね。」

ミルトレアちゃんはそう言って安心したように微笑んだ。

どうやらミルトレアちゃんは私たちに話を聞いて欲しかったようです。

「私は皇太子殿下とは赤の他人よ。」

ああ。やっぱり。

ミルトレアちゃんは皇太子殿下は自分の父親ではないときっぱりと告げた。

「どうして、皇太子殿下の娘としてあそこにいたの?散財もしたみたいだよね?」

「だって。それがママからのお願いだったから。」

ミルトレアちゃんはそう言って遠くの方を見た。

その瞳はキラキラと輝いていた。

よっぽどママからのお願いが嬉しかったんだろうなぁ。

それにしても、なんだってそんな変なお願いを・・・。

「私の仕事はもう終わったわ。この地に聖竜様が来たわ。ママの願い通りに。だから私はママの元に還るのよ。」

「プーちゃんがこの地にくることがミルトレアちゃんのママの願いだったの?」

「そうよ。」

ミルトレアちゃんのママっていったい・・・。

どうしてプーちゃんにこの地に来てほしかったのだろうか。

呪われた大地と関係があるの?

「・・・ママの願いを叶えればママと会えるかと思ったのに。貴方たちが一緒だったからママが会いに来てくれないのかと思って、聖竜様だけを呼び出したのに、それでもママは会いに来てくれなかった・・・。ママ・・・。」

ミルトレアちゃんの声がどこか寂し気に響く。

ミルトレアちゃんはママに会いたかっただけだったのかな。

「ママが皇太子に散財させろって言ったの?」

プーちゃんを呼び出すだけだったら、別に皇太子殿下に散財させる必要はなかったよね。と勘ぐってしまう。

「そうよ。一国の皇太子が目に余るくらい散財すればきっといろんな国の人の目に留まって、そのうち聖竜様が下僕と一緒にやってくるってママが言っていたの。本当にそうなったわ。ママは正しいのよ。」

「そ、そっか・・・。」

ミルトレアちゃんってばどうやらマザコンのようである。

どこかの皇太子殿下と同じだなぁとぼんやりと思った。

「げ、下僕・・・。」

「下僕?」

「ん?」

後ろで声がしたので振り向くと、なにやら後ろでマコトさんが何かを言っている。

マリアもなんだか目に怒りがこもっているような気がする。

っていうか目が座ってる・・・。

「ママには会えなかったけど、仕方がないわ。私はママの元に還るの。」

「ママの元に帰るんだったら会えるんじゃないの?」

「会えないわよ。だって、ママだもの。」

「???」

ミルトレアちゃんの言葉に疑問符ばかりが浮かぶ。

どういうことだろうか。

本当に意味がわからない。

「もう、行くわ。ママが呼んでるの。」

そう言ってミルトレアちゃんは宙に舞い上がった。

そして、クルクルと踊りながら空の果てへと消えていった。

「いったい、なんだったのかしら・・・?」

「ママとやらが元凶だったようね。」

マリアが何時にも増して低い声で呟いた。

って、マリア何を怒っているのだろうか。

「あーーー、そうみたいだね。」

でもマリアに対して突っ込まないでおく。

なんか、突っついたら爆発しそうだし。

あまり刺激を与えないようにしよう。

しっかし、ミルトレアちゃんもいなくなっちゃったし、ミルトレアちゃんの言葉はよくわからなかったし、成果というような成果がなかったなぁ。

折角怖がるプーちゃんを連れてきたのに。

『あ・・・。ミルトレア還ったの。』

『ほんとうだ。還ったの。』

『還っちゃったね。ミルトレア。』

後ろでマーニャたちがポツリと呟いた。

 

 

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