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三章
3ー152
しおりを挟むガッターーーンッ。
ドアの方から大きな音が聞こえてきた。
それとともに、すすり泣く声も聞こえてくる。
プーちゃんが、泣いてる?
「プーちゃんっ!?」
私は慌てて玄関に向かう。
マリアとマコトさんも、私の後ろに続いて玄関までやってくる。
『ま、マユ殿………。マコト殿………。』
玄関には案の定、目に涙をいっぱい溜めたプーちゃんがいた。
てか、玄関のドアが壊れてるんだけど。
プーちゃん勢い余ってドアにぶつかったな………。
しっかし、プーちゃんが泣くなんていったい何があったのだろうか。
それに、ミルトレアちゃんはどこに?
見たところプーちゃんの側にはいないようだ。
姿が見えない。
「プーちゃん何があったの?ミルトレアちゃんはどこ?」
『ミ、ミルトレア………。ミルトレア………ミルトレア。ミルトレアミルトレアミルトレアミルトレアミルトレア………。』
プーちゃんが壊れたようにミルトレアちゃんの名前を繰り返している。
いったいなんだというのだろうか。
ミルトレアちゃんがどうしたと言うのか。
尚もプーちゃんはミルトレアちゃんの名前を呼び続けるので、何があったのか全くわからないままだ。
わかるのは、ミルトレアちゃんがいないということだけ。
壊れた玄関はマコトさんの便利な魔道具で治してもらった。
今回は珍しくごく普通の魔道具だったので、ドアもあっという間に修復された。
って、一瞬で壊れた物が修復できるのが普通の魔道具の範疇に入るのかは疑問だが。
「プーちゃん、上がって。ここじゃ寒いから部屋に行こう。」
『ミルトレア………ミル………ミルトレアミルトレアミルトレア………。』
プーちゃんの背中を擦りながらプーちゃんを部屋まで誘導する。
その間もプーちゃんは壊れたようにミルトレアちゃんの名前を呼び続けていた。
これは………マーニャたちの力を借りるべきか?
プーちゃんのことだから、マーニャの姿を見れば正気に戻るだろう。
「マーニャ、プーちゃんが怖いから出てきてくれるかな?」
何もない空間に向かって声をかける。
きっと、タマちゃんの空間に今もいるのだろう。
『………怖いの無理なのー。』
何もない空間にピリッと時空の歪みができ、そこからマーニャが片目だけ覗かせた。
「そう言わずに。プーちゃんが壊れたようにミルトレアちゃんの名前を繰り返し呼んでいるんだよ。マーニャの姿が見えればプーちゃんも正気になると思うんだけど………。出てきてくれるかな?」
『………わかったなの。でも、怖すぎたらすぐに戻るの。』
そう言ってマーニャは、タマちゃんの空間から出てきた。
ちなみにクーニャとボーニャは顔も覗かせなかった。
多分二匹とも怖いものは苦手なのだろう。
『………プーちゃん?』
マーニャは恐る恐るプーちゃんに近づきらプーちゃんの名前を呼んだ。
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