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三章

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「う~ん・・・。」

マコトさんは唸りながら、ポリポリと頭を掻く。

ミルトレアちゃんのことを皇帝陛下が知らなかったとなると皇太子殿下との間に何らかの確執でもあるのだろうかと勘繰ってしまう。

「ミルトレアちゃんは皇太子殿下の娘さんだそうですよ。」

迷いながらも落ち着いた声で皇帝陛下に声をかけるマコトさん。

その言葉を聞いて、皇帝陛下の目が更に丸く大きく見開かれた。

「そんなっ・・・バカなっ・・・。そんな話、私は一切聞いておらぬっ・・・。おかしいと思ったのだ。何も成果が上がらないのに予算は毎年一緒。いったい何に予算をつぎ込んでいるのかと思ったのだが・・・。いつの間に、皇太子は腑抜けになったのだ・・・。ああ、そうだ。皇太子の側にちょっと変わった毛色の喋る猫はいなかったか?」

ガンガンっと床に頭を打ち付けるんじゃないかというくらいに狼狽している皇帝陛下はそれでも、気を取り直したのか変わった猫がいなかったかと確認をしてくる。

流石は皇帝ともなるお方だ。立ち直りが早い。

しかし、毛色の変わった喋る猫・・・?

マーニャたち以外にあの場に猫はいなかったはずだが・・・。

「毛色の変わったといいますが具体的には何色なんですか?」

マコトさんも猫を見た覚えはないらしく、首を傾げている。

「水色なんだ。珍しい毛色の猫であろう?」

「はあ。水色・・・。」

水色の猫なんて珍しい。どころか、見たこともない。

猫としてはあり得ない毛色なので、一度見たらきっと忘れないと思うのだけれども。

「そうなんだ。レコンティーニ王国の女王からその猫を皇太子殿下の元に届けるようにと脅さ・・・いや、進言されてな。届けたのだが・・・。そうか、いなかったか。」

ん?んん?

今、脅されたとか言ってなかったか。私の気のせいだろうか。

それにしても、女王様から水色の猫が皇太子殿下の元に送られたと?

なんだか、その猫のこととっても気になるんだけど。

もう一度、皇太子殿下の元に帰ったらすぐにでも確認しなければ。

「その猫がどうかしましたか?」

「いや、その猫の所為で皇太子が予算を湯水のように使ったり、不要な物まで買ったのではないかと思ってな・・・。」

「なるほど・・・。」

猫の所為で皇太子殿下の性格が変わってしまったと。そう皇帝陛下は思っているわけですね。

元の皇太子殿下がどんな性格だったのか、会ったことがないのでわからないが、簡単に人に騙されて不要な物を買ってしまうような人でないといいな。

「その猫を調べて見ますね。」

とりあえず、不用品を帝都でお金に換えて宴の準備をしつつ水色の毛並みの猫のことを調べてみるということで話の決着はついた。

 

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