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三章

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『マユーお腹空いたのー。』

『ご飯ちょうだいなのー。』

『ミルク欲しいのー。』

タマちゃんの後ろからマーニャたちがひょっこり顔を出してきた。

でも、寒いのかタマちゃんの空間から出てくる気配はない。

「そろそろご飯だよね。ごめんね、もうちょっとだけ待っててね。すぐ帰ろうね。・・・というわけで、すみません。私たちは一度出直します。」

前半はマーニャたちに告げて、後半は皇太子殿下とミルトレアちゃんに告げた。

すると、皇太子殿下は、

「ここに泊っていったらどうだい?この近くは他に集落がないんだ。泊まれる場所もないだろう。」

と言ってくれた。

しかし、この集落に泊ってもまともな食事にはありつけないだろう。

基、困窮した生活を送っているようなので、彼らの食材を分けてもらうのは忍びない。

「あー、プーちゃんが転移の魔法を使えるので一度帰ります。」

「へ!?」

「転移!?」

プーちゃんが転移の魔法を使えることを告げたら皇太子殿下もミルトレアちゃんも驚いてしまったようだ。

そうだよね。

なんたって他に使える人がいなんだもんね。

って、シロとクロが使えたか。

まあ、使える人があまりいない珍しい魔法っていうことで。

『あー、マユ殿。悪いが我は転移できなくなってしまったのだ。マユ殿たちのところに転移しようとしても何故か転移ができぬのだ。』

しょんぼりと首を落として情けなさそうにプーちゃんが告げた。

なるほど、だからなかなか私たちの元に戻ってこれなかったのね。

でも、そうするとマコトさんにお願いするしかないかな。

「マコトさん、シロとクロに転移をお願いしてもいいですか?」

「いいですよ。ですが・・・プーちゃんは一緒に転移出来ないかもしれませんね。」

『なっ!?我だけ置いてけぼりっ!!』

マコトさんの言葉にプーちゃんが情けない悲鳴を上げた。

もしかして、あれですか。

ボーニャに間違って危害を加えてしまったから初代女王様の魔法で転移魔法を封じ込められてしまった・・・とか?

「っということは、もしかしてレコンティーニ王国の国境を越えられない・・・ってこと?」

「たぶん。そうだと思いますよ。試しにプーちゃん、近くに転移できますか?」

『・・・試してみるのだ。』

そう言ってプーちゃんは姿を消した。

どうやら転移できたようである。

ややあって、プーちゃんが再び姿を現した。

『転移出来たのだ・・・。でも、やっぱりマユ殿の家には転移できなかったのだ。』

恐るべし初代女王様の力。

まさか、プーちゃんにまで効いてしまうだなんて。

これはもしかしてもしかすると、プーちゃんはこのままレコンティーニ王国に戻れないことになるぞ。

はあ。また一つ問題が湧き出てきた。

呪われた大地の件も片付いていないのに。

「転移できないのでしたら、もう時間も遅いですし私の家に泊ってください。」

私たちの会話を聞いていたのかちょうど会話が途切れたところで皇太子殿下が提案してきた。

うん。確かにね、私の家があるレコンティーニ王国には転移出来ないんだけど、他の場所なら転移できるんだよね。

『マユー!お腹すいたのー!』

『ご飯ちょうだぁーい!』

『ミルク欲しいのー!』

うん。選択の余地など内容だ。

猫様たちのお腹がそろそろ限界のようである。

「一部屋貸してください。」

そうして、私たちは皇太子殿下の住む家に泊ることとなったのだった。

 

 

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