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三章
3ー130
しおりを挟む「お父様っ!なりませんっ!お客様にお出ししたものです。それをお客様がお帰りになる前に私が頂くわけにはまいりませんわ。」
おお。この子、ミルトレアちゃんだっけ?
意外としっかりとした子のようだ。
まだ幼いのに、食べ物を我慢できるとはすばらしい。
「そうかい。ミルトレア。君は私の母上に似てとても思慮深いね。それに君は気高く美しい。まるで私の美しい宝石のような母上を見ているようだ。」
感激したようにミルトレアちゃんを抱きしめるミルトレアちゃんのお父さん。
うん。
なんだろう。
この人大丈夫かな・・・?
壮年に差し掛かるだろう見た目なのに、お母さん大好きだなんて。
いや、別にお母さん大好きで悪いわけではないけれども。
「もうっ!お父様ったらいつもおばあ様と私を比べて嫌になるわ。そんなんだから、お母様に捨てられるのよっ!」
「なっ!!仕方がないだろう。私の母上以上に素晴らしい女性はいないんだから。ミルトレアのお母様は私の母上の素晴らしさに気兼ねしたのだろう。」
「・・・私、もうお父様についていけないわ。お母様のところに行くわ。」
「なっ!!ミルトレアっ!ミルトレアも私の母上程とは言わないが、私にとっては大切な娘なのだ。私を置いていくなどと言わないでおくれ。」
必死にミルトレアちゃんにしがみつく壮年の男性。
嫌がるミルトレアちゃん。
なんだか、話をしていただけなのに何故か内輪揉めに発展してしまった。
それに、ミルトレアちゃんまだ成人していないと思われるのに、家を出ていくなんて言うし。
とんだお家騒動に発展しそうだ。
まあ、この父親ならわからなくもないが。
私でも、こんな父親なら自立した瞬間に見限るかもしれない。
いい加減、母親離れしろと言いたい。
「あのーよろしければ私たちがミルトレアちゃんをお母様のところにお連れ致しましょうか。ここは、過酷な環境のようですし、その方が安全に安心してくらせますよ。」
私がミルトレアちゃんとお父さんとのやり取りを呆然として見ていたら、横からマコトさんが助け舟にならない助け舟を出してきた。
思わず私の目が点になる。
まさか、家族仲を取り持たずに引き離す方を選ぶとは。
まあ、私もそうするかもしれないけれど。
マコトさんの言葉にミルトレアちゃんの目は輝いたが、反対にミルトレアちゃんのお父さんの顔は絶望に染まった。
「ま、待ってくれっ!私からミルトレアを奪わないでくれっ!!」
必死にマコトさんにしがみつき、肩を掴むミルトレアちゃんのお父さん。
マコトさんはそんな彼をにこにこ笑いながら見つめていた。
って、いつになったら本題に入るのよっ!
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