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三章
3ー127
しおりを挟む世界を救うというのが、いったい何をすればいいのかわからない。
けれども、取り敢えずは世界を救うより先にこの呪われた大地をなんとかすることが先決だろう。
それには、この少女から話を聞き出すしかない。
まあ、ちょっと特殊な女神(?)様に会ってしまって放心状態になってるけど。
「あのぉ………ここを耕しているのは貴女ですか?」
恐る恐る確認する。
少女は、ハッとした顔でこちらを見上げてきた。その少女の足は少し震えていた。
「わ………私たちが耕してます。」
「私はマユと言います。こっちの男の人はマコトと言います。私たちは、この土地をどうにか作物の育つ土地に出来ないか調査に来たの。状況を説明してくれないかな?」
皇帝陛下から頼まれたと口にするわけにはいかない。
だって皇太子殿下の耳に入るといけないから。あくまでも皇帝陛下からは、この件に皇帝陛下が絡んでいると思われないようにして欲しいと言われている。
「………先日までこの土地は手を加えても加えても草も生えない土地でした。」
「そう。今は小さいながらも植物の芽が出ているようだけれども?」
少女はポツリポツリと語りだした。
「はい。先日、急に芽が出たんです。神竜様が現れてから芽が出たんです。」
少女は興奮したように口にする。
神竜ってプーちゃんのことかしら?
プーちゃんがこの土地でなにかしたの?なにをしでかしたの?
ジトッとした目でプーちゃんを見つめる私。
プーちゃんは私と目が合うと、そっと目を逸らした。
『………なにもしておらぬ。』
うん。説得力皆無だよ。プーちゃん。
「いいえ!神竜様のお陰です!これまで何十年も皇太子殿下が尽力してくださっても、芽すら出なかったのに、その芽がでたんです!神竜様のお陰でないとしたら、なんだと言うのですか!」
力説する少女。タラタラと冷や汗をかくプーちゃん。
うん。なんとなくわかった。
芽が出ることなく枯れてしまう植物。なのに、プーちゃんが来てからは芽が出た。
つまり………。
「プーちゃんここで大泣きしたでしょ?」
竜の涙の影響としか思えない。竜の涙には癒しの力があるのだから。
そのお陰でうちの畑は普通の畑とかけ離れちゃってるし。
『わ、我が独りが寂しいなどと泣くわけないであろうっ!』
慌ててプーちゃんが、否定するが、その目は泳いでしまっている。
それに、ただ否定すればいいだけなのに理由まで言ってしまっている。
「寂しかったんだね、プーちゃん。」
『さ、寂しくなんてないのだっ!』
「まあまあ。でも、今の状態がプーちゃんのせいってことは確かね。」
「そうですね。しかし、竜の涙ですか。僕も欲しいです。」
マコトさんが、竜の涙ときいて急に会話に割り込んできた。
この人はほんとに魔道具作成が大好きなんだなぁ。
「マコトさん。それはあとでプーちゃんに交渉してください。それよりも、この大地を復活させることを考えましょう!」
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