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三章

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「ねぇ、マユ?貴女の名前の由来になった人たちの名前は知っているのかしらぁ?」

「え?」

女神(?)様に尋ねられてハッとする。

そういえば、私は彼らの名前を知らない。

父も母も彼らの名前までは何故か教えてくれなかった。

それに、彼らが亡くなったということは聞いたが、何故亡くなったのかも知らなければ、お墓が何処にあるかもわからないのだ。

私の名前の由来にするくらい大事な相手なのに何故………?

「斑鳩真言、斑鳩由希。それが貴女の名前の由来の人物よ。」

「イカルガマコト?イカルガユキ?マコトにユキ………?」

「えっ?」

女神(?)様の言葉を脳内で反芻する。

マコトさんは、とても驚いたように声を上げて私を見た。

「君が僕の姪だって………?」

「え?」

マコトさんの姪?

私が………?

でも、年齢が全く合わない。私の父が50代だから、マコトさんだってそのくらいの年齢でないと計算があわない。

なのに、マコトさんは80代。

「でも、年齢が………。」

「あちらとこちらの世界では時間の流れが違うからねぇ。そういうこともあるわよぉ。」

作ったような笑みをその顔に張り付けて女神(?)様は軽く言ってくれる。

私とマコトさんの思考が止まっている間に、女神(?)様は、右手に持った扇を広げて口元にあてた。

「貴女の血筋はこの世界にとても馴染むの。だから、貴女たちはあちらの世界で死んだ瞬間にこちらに転移してきたのよ。だって、彼女の血に連なる者だからね。そして私の血に連なる者でもあるわ。」

女神(?)様の声が頭を通りすぎて行く。

女神(?)様が重要なことを言っているのはわかる。

わかるのだけれども、脳がそれを理解するのを拒む。

だって、女神(?)様の言うことが正しければ、私は………。私やマコトさんは………。

「だから、僕には日本に帰るための魔道具が作れないのか。僕は死んだ人間だからか。」

マコトさんが、私の考えることを放棄した脳の代わりに呟いた。

あぁ。私は日本に帰れないのか。

「あらぁ。帰れるわよ。」

「「え?」」

女神(?)様の言葉に私とマコトさんの驚きの声が重なる。

だって、死んだ瞬間にからこちらの世界に転移してきたって今言っていたではないか。

「ただ、帰れはしても貴女たちの肉体は再生されないから帰った途端に死んじゃうわね。」

女神(?)様がにっこり笑って告げる。

それは、帰れるとは言いませんよ。女神(?)様………。

一瞬だけ期待してしまったではないか。

「それでね、マユ。話は元に戻るけど、この世界を救ってちょうだいな。あの子の血を引く貴女じゃないと出来ないことなの。頼んだわよ。」

「え?」

世界を救えっていうのは冗談じゃなかったんですかっ!?

「じゃあね。マユ。また会いましょう。」

女神(?)様はそう言ってドロンッと姿を消した。

世界を救うことが具体的にどんなものかも告げずに女神(?)様は消えた。

「世界を救うって何をすればいいのよ!」

何処かの物語みたいに魔王を倒せばいいの?

ってそもそも魔王ってこの世界にいるのかしら?

もっと、具体的なことを教えてください、女神(?)様。

というか、拒否してもいいですか………?
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