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三章
3ー115
しおりを挟む「そうですか。わかりました。それで、私に呪われた大地を復興させろということでしょうか?」
マコトさんが、皇帝陛下に向かって確認する。
って!!ちょっと呪われた大地を復興するだなんて、なんて無茶振りなのっ!?
まだ皇太子殿下を説得するという方が楽な気がする。
だいたい30年かけてまったく成果が上がっていない土地だよ。
無理でしょ。
でも、マコトさんの魔道具ならすぐに対処できたりするのかな。
「流石はマコトだ。話が早い。やってくれるか?」
皇帝陛下の目が期待で輝いた。
「・・・やってみますが、できるかどうかは確証がありませんよ?」
「そうか・・・。マコトでも難しいか。でも、挑戦してくれればありがたい。」
マコトさんはどうにも浮かない顔をしている。
先ほどまでのにこやかな笑みが消えてしまった。
マコトさんでも自信がないことがあるんだ。てっきり、魔道具が思う存分試せると喜ぶのかと思っていたが。
まあ、皇太子の命運がかかっていると言っても過言ではないから確約は避けている感じなのだろうか。
「まあ、僕では無理かもしれませんが、ここにいるマユさんなら一気に解決しちゃうかもしれませんよ。大船に乗った気持ちでいてください。」
「はあっ!?」
「ほお。」
いきなりマコトさんなんてこと言っちゃってるのーー!!?
しかも、皇帝陛下の期待した眼差しが今度は私に向けられてるし!
今まで私は空気と化していたのに。
マコトさんってば、無責任なこと言っちゃダメだよー。
ほんとなんでこんな面倒な展開になってるんだろう。
「や、やるだけのことはやってみます。でも、そんなに期待を込めた目で見ないでください。お願いいたします。」
そんな目で見つめられたって、脚がガクガク震えるだけだし。
期待されて無理ですなんて言えずに思わず頷いてしまった。
もう、後戻りできなそうだ。
そうと決まれば、情報収集をしなければならない。
原因を突き止めて対策を立てる。それが物事の基本だ。
原因を突き止めるためには情報を集めることが大切であり、今までどんな対策を取ってきたのかも知っていると対策が立てやすくなると思う。
「皇太子殿下はどちらにいらっしゃいますか?今までの対策等をお伺いしたいのですが。」
「うむ。現地に行っているよ。もう何十年も現地で住み込みで対策を練っている。」
おおう。現地で住み込みで対策を練っているだなんて、随分と熱意のある皇太子殿下のようだ。
部下に任せるのではなく、自分が先陣を切るとはなかなかの性格のようである。
でも、もしかしてそれ以外の政務を全くおこなっていないとかじゃないよね?
もし、そうだとすると今から皇帝陛下の政務を引き継ぐのってかなり辛いんじゃあ・・・。それに皇帝陛下の後を継ぐという反発は思った以上に多そうなんだけど。
ちょっと不安になってきたが、それは聞かないことにする。というか聞いちゃいけないような気がする。
「では、さっさと現地に行ってみましょうか。マリアさんも早く見つけなくちゃいけませんし。」
マコトさんは言うが早いか、ささっと立ち上がる。
これはあれだな。
さっさとこの件を片付けたいのではなくて、さっさと魔道具を思いっきり試してみたいだけだよね。
「むっ。環境に詳しい有識者は帝都にいるから少し話を聞いてはどうかね?」
皇帝陛下はそう言ってマコトさんを引き留める。
確かに一理ある。有識者の意見を聞くのも参考にするのも大切だろう。
「百聞は一見に如かずと言いますからね。まずは行ってみて必要だったら有識者の方々に聞いてみます。幸いにもシロとクロがいるので転移し放題ですからね。」
なあんて言っているけど、きっとただ単に早く魔道具の効果を試してみたいだけだよね、きっと。
かくして私たちは呪われた大地へと向かうことになったのだった。
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