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三章

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いきなりドアが開いて、年配の男性が部屋に入ってきた。

まずいっ!見つかった!!

と焦るも、マコトさんは焦った顔一つ見せない。

私たちは不法入国したあげくに、不法侵入してるのに。

なぜ、そんなにマコトさんは落ち着いていられるのだろうか。

「あ、お邪魔してます。」

マコトさんは部屋に入ってきた男性にそう告げた。

いやいやいや。それで、許されないでしょ。普通。

ここお城の中だし。

「………。」

目の前の男の人もマコトさんの態度に驚いているようだ。

切れ長の目を見開いて、マコトさんのことを凝視している。

それはそうだろう。

なんたってお城の一室に明らかに他国の人間がいるんだから。

驚かない方が無理だと言えよう。

マコトさんは、それでもめげずに男性の前でにこやかに手を振っている。

私は心臓がバクバクと恐ろしいほど、脈打っているのに。

「マコトさんっ!!」

見つかってしまったからには、逃げないと。そう思ってマコトさんに声をかけるが、マコトさんはただにこやかに笑っているだけだった。

目の前にいる男性の目が細められる。

やばいっ!

絶対捕まる!!

マコトさんの腕を掴んで思いっきり引っ張るが、マコトさんはびくともしなかった。

どうして!?

どうしてマコトさんは慌てないの!?

「………マコトか?変わらないな。」

「へっ?」

マコトさんと、この目の前の男性は知り合いだったの?

なんだか、男性の目元が少しだけ和らいだような気がした。

「ええ。おひさしぶりですね。陛下もお変わりないようでなによりです。」

どうやら、知り合いだったみたいだ。だから、見つかってしまったにも関わらず、マコトさんもにこにこしていたのか。

「へっ!?へいかっ!!」

というか、マコトさんの言葉に反応して、思わず声をあげてしまった。

だって、だって、だって。

陛下だって。

マコトさんこの男性のことを陛下って言った!

な、なんで、どうして帝国に来て一番最初に会った人が陛下になるんだろう。

もう、わけがわからないのだけれども。

「マコトは、いつまでも若いままだな。羨ましいよ。」

「いえ。私な年相応に年をとって行きたいと思いますよ。僕だけが取り残されてしまっているような気がして。」

「はははっ。相変わらずだな。ユキは元気なのか?勇者ハルジオンと結婚したと聞いたが。」

「ええ。元気にしていますよ。」

マコトさんと皇帝陛下がにこやかに言葉を交わしあう。

随分親しげだ。

それに、皇帝陛下は、ユキさんのことも知っているようだ。

って!!

ユキさん勇者と結婚したの!?

えっ!?でも、ユキさんの旦那さんって、村長さんだよね!

あれ!?

え?村長は勇者だったの!?

村長さんってば、ぜんぜん強そうな感じしないんだけど。
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