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三章
3ー105
しおりを挟む猫様にはそれぞれ異なった能力があるとマコトさんは言う。
たまたま、シロとクロの能力が転移だったというだけで、マーニャたちが必ずしも転移が使用できるというわけではないということだ。
しかも、マコトさんが言うには、シロとクロが揃っていないと転移ができないという。一匹だけでは転移ができない不便な面もあるそうだ。
『マーニャも転移するのっ!』
『クーニャもっ!!』
『ボーニャもやってみるのっ!!』
どこからともなく寝ていたはずのマーニャ達がやってきて口々に転移したいと言い出した。
マーニャたちが転移ができるかどうかわからないということをマコトさんから聞いていたから、試してみたくなったのだろう。
「マーニャたちは転移したことがあるの?」
『『『ないのっ!だからやってみるのっ!!』』』
念のため、転移したことがあるかどうかを確認してみたら、勢い良くマーニャたちが返事をしてきた。
やったことないけど、やってみる。そのポジティブな発言が羨ましい。
「あんまり遠くに転移しないようにね。マコトさんの家の中だけで転移できるか確認してみようね。」
遠くに行ってしまったら探しに行けないので、予め釘を刺す。
『『『わかったのーっ!!』』』
そう言ってから、マーニャたちは静かになった。
じぃーっとマーニャ達のことを見守る私とマコトさん。
ちなみにトンヌラさんはまたマリアに対して暴言を吐いたので魚化しています。すぐに魚化して、酸欠になるので今はお風呂に放り込んでいるところです。きっと、ぶつぶつ言いながら魚化したり人化したり忙しいことでしょう。
しばらくマーニャたちのことを見守っていたが、マーニャたちの姿は変わらずそこにあるままで、やはりマーニャたちには転移が難しそうです。
『・・・できにゃいの。』
『ママーっ!』
『ぐすんっ。』
どうやっても転移することが出来ないのか、マーニャたちはその場にへたり込んだ。
っていうか、クーニャったら母猫であるクロのこと呼んでるし。
『呼んだ?』
しかも、クーニャが呼んだらすぐにクロが来たし。その後ろからシロもやってきた。
やっぱり子供のことは心配なんだね。
まだまだマーニャたちも子猫の域を出ないわけだし、心配しないはずもない。
まあ、猫って生後4ヵ月ほどになれば自分でご飯も食べれるようになるし、もう親離れする年ではあるけれども。
『ママッ!転移の仕方教えてっ!!』
『転移したいのっ!』
『ママーッ!!』
うるうると大きくつぶらな瞳で、シロのことを見つめるマーニャとクーニャ。ボーニャに至っては薄っすらと目に涙を浮かべてシロに擦り寄っていく。そのボーニャの頬を愛しそうにシロがペロペロと舐めて宥めている。
『貴女たち転移したいの?』
『『『うんっ!教えてっ!!』』』
マーニャたちが期待をこめためで、シロを見つめる。
『あっちに移動したいなぁ~って思えば転移できるわよ。』
『やったけど出来なかったのー。』
クロってばざっくりとした教え方だなぁ。
そのクロの言葉を聞いてもマーニャたちが転移できるはずもなく。
『じゃあ、貴女達には適性がないのね。』
『『『にゃっ!!』』』
クロの突き放すような言葉に、マーニャたちは驚愕して固まってしまった。
身も蓋もない言い方だなぁ。クロってば。
それをオロオロと見ていたシロが助け舟を出してくる。
『行きたいところがあるなら僕達が送っていくよ?』
どうやらシロも転移の仕方を教える方向ではなく、マーニャたちを行きたいところに送っていく方向で話を進めたいらしい。
ということは、マーニャたちが現時点では転移を覚えることはできないのだろう。今後もしかしたら私のスキルみたいに生えてくるかもしれないけど。
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