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三章

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皇太子殿下は初老のおじ様でした。

なぁんて夢をぶちこわすような現実は聞かなかったことにしたい。

小説の読みすぎかもしれないけれど、皇太子殿下というのは青年というイメージが強かった。

でも、そうなんだよなぁ。

皇帝が存命であれば、何歳になっても皇太子殿下は皇太子殿下なんだよなぁ。

うっかりしてたよ。

ちょっと残念だなんて思ってないよ。思ってないから。

 

「でも、帝国かぁ・・・。プーちゃんいないし、帝国までどのくらいかかるんだろう。」

「馬車で行くとなると、片道で軽く一週間はかかりますねぇ。」

ポツリと呟くと、すぐにマコトさんが教えてくれた。

馬車で一週間とかどんだけ苦痛だろうか。

「・・・問題は、帝国に入国できるかどうかですね。今、帝国の情勢はあまりよくありませんから他国の者を入国させてくれるかどうか。もしくは入国できたとしても出国できない可能性がありますね。」

「へっ!?」

馬車で一週間かけて行っても入国できなかったらどうにもならない。

出国できないのは、マリアと合流した後なんとかなるかもしれないけど、そもそも入国できないような状態であれば考え物だ。

プーちゃんが初代女王様の力で国外追放されていなければ、転移であっという間だったのに。

しかも、転移してしまえば入国・出国も関係なかったし。

「はぁ・・・。プーちゃんがいれば・・・。」

「プーちゃんがいればなんとかなったんですか?」

またしても独り言に近い言葉をマコトさんが拾って確認してくる。

ボソッと呟いただけなのに、マコトさんってば地獄耳だなぁ。

「プーちゃんは転移の魔法が使えるから、入国できない状態になっていても関係ないな、と思ったんです。」

「ああ。そうでしたか。」

「まずは、プーちゃん探さないといけないですね。」

「その必要はありませんよ?シロとクロがいれば転移可能ですから。」

「えっ!!?」

シロとクロって猫だよね?

マーニャたちの親だよね?

そのシロとクロがいれば転移ができるの!?

でも、マーニャたちって魔力がなかったんじゃなかったっけ・・・?

実は転移って魔力が必要なんじゃなかったの?

「正確には、シロとクロと異世界からの迷い人がいれば転移が可能となります。」

「マーニャたちも転移できるの?」

シロとクロが転移できるのならば、マーニャたちも出来るのではないかと気になってマコトさんに問いかける。

だが、マコトさんは首を傾げるだけだった。

「さあ。僕にはわかりません。シロとクロが力を合わせたら転移できたんです。猫様の能力はそれぞれ違うといいますし・・・マーニャたちが転移できるかどうかは僕にはわかりません。」

 

 

 

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