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三章
3ー95
しおりを挟むひまわりの鉢植えを手に取った私は、プーちゃんに鉢植えを見せた。
「プーちゃん、きっとこのひまわりの鉢植えでプーちゃんを元の状態に戻せるはずだわ!さっそく、ひまわりを使って化粧水を作ってみるから、待っててね。」
『うむ。わかった。頼むぞ、マユ殿。』
プーちゃんは嬉しそうに微笑んでいる。
希望が見えてきたんだもんね。
マーニャ、ありがとう。私、頑張って化粧水を作るね。
そうと決まれば、錬金釜を置いてある部屋に向かう。
だけれども、まだセットしてある化粧水が完成していないので錬金釜の蓋を開けることができない。
一度セットしたら完成するまで蓋が開かない仕様になっているようだ。
早く化粧水の作成をしてみたいのに、もどかしい限りである。
私は、プーちゃんがいる部屋に戻り、プーちゃんの部屋に余っていた錬金釜を2つほど設置した。
部屋が狭くなってしまったが仕方がない。
少しでも早くプーちゃんとトンヌラさんに元に戻って欲しいのだから多少の犠牲には目を瞑ろう。
錬金釜に、化粧水の材料である薬草と山の湧き水をいれ、ひまわりの花びらをプチッと引きちぎろうとひまわりの花びらを指でつまむ。
「あ、あれ・・・?」
ぎゅっと力を入れて、ひまわりの花びらを引き抜こうとするが、全く抜ける気配がない。
力いっぱい引っ張ってもダメだったので、鋏を用意した。
ひまわりの花びらに鋏を入れ力をこめる。
「あ、あれ・・・?」
鋏がビクとも動かない。
力を込めてみてもビクとも動かない。
この鋏がさび付いてしまっていて使えないのだろうかと思い、確認してみるが錆は見当たらない。試しに紙を切ってみたがこちらは普通に切ることができた。
ひまわりの花びらってそんなに硬かったんだっけ・・・?
『・・・マユ殿。そのひまわりには傷一つつけられないのではなかったか?』
プーちゃんがいつもより低い声で教えてくれた。
「あ、そうだった・・・。」
ひまわりはプーちゃんの涙の影響のおかげで傷一つつけることができない状態になってしまっていたのを忘れていた。
これでは、化粧水にひまわりを混ぜることができない。
と、いうことは他に方法がある・・・?
まさか、プーちゃんの涙?
「プーちゃん、泣いて。」
『はあ!?いきなり何を言うのだ。』
プーちゃんは私の突拍子もない言葉に、驚いて起き上がろうとするが、滑ってしまってもがいている。
でも、プーちゃんの涙があれば大抵のものは出来ると思うんだよね。うん。
「プーちゃんを元に戻すには、プーちゃんの涙が必要なの。」
『そ、そそそれでも泣けと言われてもすぐには泣けぬっ!』
「そう、言わずに。さあ、泣いて頂戴。」
『無理だっ!』
「無理でもなんでも泣いてもらうわ。」
『横暴だっ!』
「プーちゃんのためなのよ!」
『いやなのだっ』
「泣くだけなんだから痛くも痒くもないわよ。」
『我にもプライドがあるのだっ!簡単に泣けるわけもないであろう!』
プライドか。
プーちゃんにもプライドがあるんだね。
そうだよね。だって、生きているんですものね。
でも、その割にはプーちゃん結構な頻度で泣いていたような気もする。特にマーニャ関係ではボロボロ涙を流していたような気がする。
プーちゃんのためなのに、なぜ、プーちゃんに嫌がられるのだろうか。
解せぬ。
「やったっ!しゃべれるっ!猫じゃないっ!!」
『「えっ?」』
私がプーちゃんと言い争っていると、後ろから男の人の嬉しそうな声が聞こえてきた。
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