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三章
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しおりを挟む女王様が持っている剣は、伝説の魔剣でした。しかも鑑定によるとその、昔伝説の勇者であるハルジオンが所持していたものだとか。
・・・ん?
ハルジオン・・・?
どっかで聞いたような名前なんだけど、誰だったっけ・・・?
「ふふふっ。マユやっと来たのね。待ちくたびれたわ。」
女王様は不敵に笑いながらゆったりとした歩みで近づいてくる。その後ろを慌てた様子で兵士長さんが着いてきている。
どうやら、兵士長さんは逃げたわけではなく、女王様に報告に言っていたようだ。
でもさ、普通、兵士長さんが自ら戦場を放棄して報告になんていかないよね?それって伝令の役目だよね?
疑問は残るが、グッジョブ!兵士長さん!
女王様が来てくれれば話は早い。
だって、女王様はプーちゃんのことも知っているのだから、プーちゃんに敵意がないことも知っている。
私はホッと胸を撫で下ろした。
これで、この妙な緊張感から解放されて王都に入れると確信して。
あれ?
でも、そう言えば私たちはなんで王都に来たんだっけ・・・?
マコトさんに会うためだったっけ・・・?
あれ?
マコトさんに魔道具のことを聞くことはついでで、なにか本命が他にあったような気がするんだけど、思い出せない。
『しゃ、シャーーーーッ!!』
物思いに耽っていると、奇妙な声が聞こえてきた。なんだなんだと辺りを見回すと大精霊たちの姿が見えない。マーニャ、クーニャ、ボーニャは地面で小さくなって丸まっている。
プーちゃんはトグロを巻いて女王様を睨み付けていた。
どうやら今の声はプーちゃんが威嚇する声だったようだ。
「なんだ、プーちゃん。私が怖いのか?」
女王様は不敵な笑みを崩さない。一歩一歩確実にプーちゃんに向かって近寄ってくる。
『く、来るなっ!!』
「昔はよく戦ったではないか?」
ズシンッと、女王様の足が力強く大地を踏んだ。
って!!
「きゃあ。」
『『『にゃっ!!』』』
『マーニャ様たちには手をだすなっ!』
プーちゃんは宙に浮いているから大した衝撃はなかっただろうが、マーニャや私は女王様が力強く地面を踏みしめた時に、ぐらりと地面が揺れるのを感じた。
立っていられないほどの強い揺れだった。
女王様の後をついてきていた兵士長さんも地面に膝をついている。どうやら彼も女王様が繰り出した揺れにやられたようだ。
って!なんで女王様の一踏みがこんな衝撃を生むのだろうか。
しかも、プーちゃんと良く戦っていたってどういうこと!?
「あの時は私もまだまだ未熟な子供だったゆえ、プーちゃんからの一撃を食らってしまったが、私はさらに強くなった。もう一度プーちゃんと戦おうと思うのだが、いかがかしら?」
『断るっ!パールバティー様と戦ったら我はただではすまぬ。痛いのは嫌なのだっ!』
い、痛いのは嫌だって!!プーちゃん女王様に負けるつもりなのっ!!
ま、まさか女王様ってばプーちゃんより強かったりしないよね?
「痛くはない。私の勘が正しければプーちゃんは傷一つ負わないはずよ。だから痛くないわ。さあ、私と戦いなさいっ!!」
『嫌なのだっ!!』
プーちゃんが悲鳴のような声をあげた。
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