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三章

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『マユ、我を呼んだであるか?』

プーちゃんを呼んでしばらくすると、プーちゃんが頭にマーニャを乗せた状態でやってきた。

マーニャはプーちゃんの頭の上でグースカ眠っているようである。

頭の上で寝るなんて、マーニャは器用だなぁと思うと同時に、プーちゃんがマーニャに信頼されていることにちょっともにょっとした気分になった。

猫って安心して眠れるところじゃないと熟睡しないのに、プーちゃんの頭の上で寝ているってことは、プーちゃんのことを心底信頼しているってことじゃない。

 

最近はマーニャ私の布団になかなか来ないのにぃ。なんて羨ましいっ!!

 

って、そうじゃなかった。

プーちゃんに竜の宝玉のことを聞かなければ。

「プーちゃん。今、ベアトリクスさんから聞いたんだけど、竜の宝玉が壊されるとプーちゃんが死んじゃうって本当?しかも、宝玉を壊さなければ何されてもプーちゃんは死なないって本当なの?」

コロンッと器用にマーニャがプーちゃんの頭の上で寝返りを打った。プーちゃんの額にマーニャの長い尻尾がファサーッとかかる。それを感じてウットリとした表情を浮かべるプーちゃん。

 

ええいっ!羨ましいっ!

 

って、そうじゃなくって・・・。

「プーちゃん?」

私の問いに答えずに、マーニャの可愛さに悦に入っているプーちゃんに回答を促す。

『・・・その通りである。宝玉が我の命なのだ。』

プーちゃんはそう言ってふんぞり返った。そして、その短い前足を腰と思われる位置にあてている。

そんな偉そうに言うものじゃないと思うんだけど。

プーちゃんの命の源でしょ?

「それ・・・マーニャが持っているのよね?」

『もちろんである!』

「そんなに大事なものをマーニャに渡してしまっていいの?」

竜の宝玉は命そのものだ。

それを、いくら信用しているとしてもマーニャに渡してしまって本当にいいのだろうか。

そう尋ねると、プーちゃんは優しく微笑んだ。

『我は数え切れないほど長い時間を生きてきた。辛いことも苦しいことも経験してきた。もちろん、信頼していた者との別れもしかり。もう、十分生きたのだ。我の命はマーニャ様と供に。それが我の望みなのだ。』

「プーちゃん・・・。」

あれほど、馬鹿っぽいプーちゃんだけど、いろいろ経験をしてきたようだ。

きっと、言葉で言うよりも辛い経験や苦しい経験もしてきたのだろう。

別れだってきっと辛かったはずだ。

それを乗り越えてきたプーちゃん。

もう、誰かと永遠の別れをするのが辛くなってしまったのだろう。

だから、マーニャの手に命を委ねたのだろうか。

『・・・返すのにゃ。』

その時、プーちゃんの頭の上で眠っていたマーニャがポツリと呟いた。

 

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