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三章

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火蜥蜴の火炎袋かぁ。

村長さんの家から帰宅する際、歩きながら火蜥蜴に思いを馳せる。
いったいどんな生き物なのだろうかと無い創造力をかき集めて、火蜥蜴を想像をしてみた。

火を吐くでっかい蜥蜴か・・・。
ん・・・?
火を吐くでっかい蜥蜴・・・?
あれ?
プーちゃんってさ、見ようによったら蜥蜴に見えるよね?
しかも、こないだ火を吐いていたような気がする・・・。
ま、まさか・・・。
いや、まさかね・・・。

絶対にあり得ない想像をしてしまった・・・。

「はあ・・・。」とため息をついて家のドアを開ける。

「ただいまー。」

『おかえりなのっ!』

『ミルクは~?』

『待ってたの~!』

『ふむ。良い匂いがするの。』

ドアを開けると、マーニャたちが迎えにでてきてくれた。って、クーニャ。君はミルクしか言えないのかい・・・?
マーニャたちと一緒に出迎えてくれた、プーちゃんに思わず視線がいっていしまう。
仕方がない。
だって、さっきまでプーちゃんのことを考えていたのだから。

『マユ殿・・・?』

プーちゃんは凝視されたことに対して戸惑っているようだ。アワアワと慌て出した。
その姿を見て、やっぱりプーちゃんは竜だけど、見ようによっては、でっかい蜥蜴に思える。

「プーちゃん、火・・・吐けたっけ?」

『・・・?いきなり何をいいだすのかと思えば・・・。ふんっ。我にできないことはないっ!』

一瞬キョトンと目を見開いたが、すぐにプーちゃんは真顔に戻った。
そして、いつも通りのセリフを返してくる。
うん。
聞いた私がバカだったかも。
プーちゃんいつも自分に出来ないことはないっていうもんね。

「プーちゃんには火炎袋があるの・・・?」

念のため聞いてみる。

『火炎袋・・・?なんだそれは?』

うん、よかった。
火炎袋を知らないということは、やっぱりプーちゃんが火蜥蜴ではないようだ。
よかったよかった。
特徴が一致してたからプーちゃんかと思ったよ。

「やっぱりプーちゃんじゃないよね。よかった。あのね、ご飯を炊くための魔道具の材料のひとつに火蜥蜴の火炎袋っていうのがあってね。火蜥蜴っていうのが、火を吐くでっかい蜥蜴だっていうから。ほら、プーちゃんも火を吐くでしょ?それに、見ようによってはでっかい蜥蜴だし。」

『むっ!蜥蜴とは失礼なっ!!我は断じて蜥蜴などではないっ!!』

蜥蜴と言われたことに気分を悪くしたプーちゃんはそっぽを向いてしまった。
まあ、竜に蜥蜴はないよね。
無理があったか・・・。

「そうだよね。ごめんね。プーちゃん、火蜥蜴って知ってる?」

ずっと長い時を生きているプーちゃんだったら火蜥蜴のことを知っているかと思って念のため聞いてみる。
しかし、火蜥蜴に覚えがないのか、プーちゃんはキョトンと首を傾げた。

『聞いたこともないが・・・。なんだ、それは?』

「火を吐くでっかい蜥蜴のことを火蜥蜴っていうのよ。」

『ふぅ~ん。知らぬな。』

「そっか。そうだよね。」

どうやらプーちゃんは知らないようだ。それならと、マーニャたちにも聞いてみる。
以外とマーニャたち物知りだったりするしね。

「マーニャ、クーニャ、ボーニャ、火蜥蜴って知っている?」

『知らないのぉ~。』

『そんなことより、ミルクちょうだい。』

『・・・?ピーちゃんに聞いてみたらぁ?』

どうやらマーニャたちも火蜥蜴は知らないようだ。だが、ボーニャがピーちゃんに聞いてみたらというヒントをくれた。
そっか。
ピーちゃんって火の大精霊だものね。
火に関係する生物のことは知っているかもしれない。
早速ピーちゃんに確認してみることにした。

「ピーちゃん、いる?」

『呼んだか?』

ピーちゃんを呼んでみると、すぐに返事が聞こえなにもなかった空間に突如としてピーちゃんが現れる。
どうやら、ピーちゃんたち大精霊は自在に自らの姿を消したり見えるようにしたりすることができるようだ。
なので、姿が見えなくても大体はそばにいることが多い。また、そばにいなくても、妖精の通り道を通ってすぐに姿を現すことができる。
ちなみに妖精の通り道とは妖精だけが知っている空間と空間を繋ぐ妖精だけしか通れない近道のことらしい。

「ピーちゃんは火蜥蜴って知っている?」

ピーちゃんに訪ねると、なんでそんなことを聞くんだというように驚かれてしまった。
それから、スイッと視線をプーちゃんに向ける。その後を追うように、ピーちゃんの右手の人差し指がプーちゃんを指し示す。

『それのことだろ?なに、今さら聞いてくるんだ?』

「・・・へ?」
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