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三章

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ヌメリン草を使ってって・・・。

乳液の材料になるから、ヌメリン草を使って乳液を作ったけれども、でもあれは全くの失敗作だ。

飲んではいけない代物となってしまった。

まあ、ベアトリクスさんには女王様に献上したら喜びそうとは言われたけれども、でも効果としては全くの失敗作なので献上するのも躊躇われる。

「・・・作りました。」

作っていないと言いたい。

あの、なんの役にも立ちそうにない乳液なんて作ったとあまり知られたくない。

しかし、パールバティー様の威圧オーラに私は負けてしまう。

というか、パールバティー様の威圧オーラに勝てる人なんているのだろうか。

あの、マーニャでさえパールバティー様からは隠れてしまったのだから。

「ふふふっ。さあ、見せて頂戴。ヌメリン草で作った乳液を!」

パールバティー様の目がキラキラと眩しいほどに光っている。

私は眩しすぎて思わず目を伏せてしまった。

それにしても、なんで、ヌメリン草で作ったのが乳液だって知っているんだろう、パールバティー様。

私そんなこと一言もパールバティー様には言ってないんだけれども。

このヘンテコな効果を持つ乳液の存在を知っているのは、私とベアトリクスさんだけ。

ん?

ベアトリクスさんが知っている?

あれ?

もしかして、ベアトリクスさん経由でバレてる!?

「さあ!乳液を出しなさい。マユさん。」

「さあ!」「さあ!」とパールバティー様は右手を私に差し出す。

私はじりじりと後ずさりをしてしまった。

だって、怖いんだもん。

「あ、あの・・・家にありますです。はい。」

乳液の効果があまりにも使えないものだったので、家に置いてきており持ち歩いてはいないのだ。

「そう。なら、私もマユさんの家に行くわ。さあ、行きましょう!今すぐ行きましょう!!」

言うが早いかパールバティー様は椅子からスッと立ち上がる。

その所作は無駄な動きがなくとても綺麗で、思わず見とれてしまった。

って、ねこまんままだ一口も食べてないんだけどっ!!

この目の前の美味しそうなねこまんま!鰹節マシマシのねこまんま!!勿体無い・・・。

でも、パールバティー様を目の前にしてねこまんまを食べてから行きたいだなんて言えない。

言えないので、泣く泣く私も席を立つ。

先頭を行くパールバティー様の後ろを歩き、サラさんが居たのでこっそりと「ねこまんま一口も食べれなくてごめんなさい。」と謝っておいた。

食べ物を粗末にするものは呪われてしまうのである。

サラさんも遠巻きながらも私たちの様子は見ていたのか「仕方ありませんよ。」と苦笑していた。

ねこまんまはサラさんがダンさんと一緒に美味しくいただくようです。

無駄にならなくてよかったぁ。

危うく勿体無いお化けが出てきてしまうとこだったよ。

パールバティー様と一緒に家まで早足で歩く。

歩くというよりもはや小走りの状態だった。私は。

なぜ、そんなに早く歩けるのでしょうパールバティー様。

もちろん、猫の姿のままの失礼男もといトンヌラさんは猫の姿なのでついて行くのがやっとのようで走っている。

 

 

「た、ただいま・・・はぁ、はぁ。」

家に着いたときには、すっかり息があがってしまっていた。

パールバティー様は息一つ乱れてはいなかったが。

女王様なんでしょ?この人。

なんで、こんなに身体能力高いのかしら?

ちなみに、全力疾走で駆けて来たトンヌラさんは、「ぜぇ・・・はぁ・・・。」と玄関の前で仰向けになりながら荒い息を吐いている。

そうだよね。

猫って瞬発力はあっても、スタミナないもんね。

って、誰も迎えにでてきてくれないんだけどっ!!

皆、女王様の気配を感じて隠れてしまったのだろうか。

「さあ、マユさん。乳液を見せなさい。」

「は、はい。ただいま・・・。」

言われるがままに保管庫から乳液を一つ取り出して、パールバティー様に手渡した。

「あ、あの・・・。乳液なんですが、付与効果は全く約にたたない効果なので飲まずに使用されることをお勧めいたします・・・。」

「ふっ・・・ふははははははっ!!これはいい!!」

「へ?」

乳液を手にした女王様は急に上機嫌になって笑い出した。

って、女王様も鑑定スキル持ち!?

「愉快だわ!実に愉快だわ!!飲むと身体が滑って何も手に持てないどころか歩くこともままならないだなんて!!実に愉快な効果だわ!!」

そうである。

この乳液、飲むと身体が滑ってしまい、何も持つことができないのだ。

持つとヌメリンッと滑り落ちる。

歩くにも滑ってしまうので地面を蹴ることができない。そのため、前に転がる。

さらには立つことも難しい。

だって、足も滑るから地に足をつこうものならヌルッと行くのだ。

坂道なんて大変だ。だって、歩けないし滑るから滑っていく。しかもヌメリン効果でかなりのスピードが出る。

立つこともままならない、歩くこともままならない。何かを持つこともできない。

そんな効果の乳液あったって全く役に立たない。

そんな厄介な効果を持っている乳液をパールバティー様は一体どうするというのだろうか。

 

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